チャット型AIが普及して検索行動が変わってきた。個人的には、今までであれば気になったことをGoogleで検索したが、今は、GeminiやPerplexityなどを使うケースが多い。その際に行動が変わったのは、Googleであればどんなキーワードで検索するかを少し考えてからその単語を検索窓に打ち込むが、今は気になったことを、そのまま疑問文の形で音声入力することが多い。つまり検索の際に、検索すべきキーワードを考えると言うステップが1つ減ったと言うことだ
これは筆者だけのことではなく一般的な傾向と思われる。従来のキーワードベース検索から対話型AI検索への移行が急速に進行している様だ。
ChatGPTの週間アクティブユーザー数は8億人を超え、2025年2月の4億人から倍増している。この成長は、ユーザーが情報探索において従来の「検索→クリック→閲覧」という行動パターンから、「質問→直接回答獲得」という新しいパラダイムへとシフトしていることを示している。
しかしながら、Googleは、まだ検索市場を支配している。2025年3月時点で、全世界の検索市場の89.62%を占めている。しかし、この数字は過去20年間で最低水準であり、AI検索の台頭による影響が現れ始めている。
2025年7月時点で、デスクトップ検索トラフィックの5.99%がLLMに流れており、これは前年同期の約2倍に相当する。さらに注目すべきは、Appleの幹部が反トラスト法廷で証言したところによると、Safari経由でのGoogle検索が20年ぶりに減少したという事実である。
これは、マーケティング業界の構造変革をもたらす可能性がある。Googleの全収益の約75%が検索広告から生まれている現状において、AI検索の普及はGoogleのビジネスモデルに脅威をもたらすだろう。
実際の影響はすでに数値として現れている。Google AI Overviewsの拡大により、検索結果トップページのクリック率(CTR)は28%から19%へと32%減少した。これは、AI生成の回答が検索結果の上部に表示されることで、従来のオーガニック検索結果への流入が著しく減少していることを意味している。
企業のマーケティング戦略も大きな変革を迫られている。Forresterの調査によると、2025年7月時点で米国および欧州のユーザーの42%がAIアシスタントやLLMベースのツールで調査を開始しており、これは2024年1月の24%から大幅に増加している。
この変化を受けて、広告主の62%が従来の検索広告から予算を、他のメディアに再配分しているという。さらに、デジタル広告支出におけるAIおよびLLMチャネルの割合は、2023年の6%から2027年には30%まで増加すると予測されている。
このように世界では、検索が大きく変わり始めている。しかし、それは、現時点では日本市場には、まだ当てはまらない。日本のAI検索普及は他の先進国と比較して遅れているからだ。2024年度における生成AIの利用率は26.7%にとどまっており、これは米国の68%、中国の81%と比較して大幅に低い水準だ。
企業レベルでも同様の傾向が見られ、2025年5月時点で日本企業の31.2%が業務で生成AIを使用または使用経験がある状況である。この数字は米国・中国の80%超と比較して著しく低い。
だが、遅れているとはいえ、これは、確実なトレンドであり、日本でも検索行動や広告費の配分が大きく変わることが予測される。