GoogleがChromeブラウザを「10年で最大のアップデート」を行った。これは、AI機能を常駐することで、ブラウザの概念を変えるものだ。Gemini AIの完全統合により、ブラウザ従来の「ウェブページを表示するツール」から「AI駆動のプラットフォーム」への転換を図っている。
これは、PerplexityのDiaブラウザと同じ考え方だ。Diaを使い始めているが、まだ、このAI機能を常駐するブラウザには慣れない。
現在、Google Chromeは世界のブラウザ市場で70.5%という圧倒的なシェアを占め、約34億5000万人のユーザーを抱える巨大プラットフォームとなっている。特に注目すべきは、南米では78.9%、アジアでは72.2%、アフリカでは74.1%という驚異的な支配率を記録している点である。日本国内においても、全デバイス合計で57.27%のシェアを維持し、PCでは65%、モバイルでも49.34%の利用率を誇っている。
この巨大なユーザーベースを背景に、Googleは今回のAIアップデートを通じて、ブラウザから収集される膨大なデータとユーザー行動パターンをAI学習に活用し、より精密な広告ターゲティングとサービス最適化を実現する戦略を展開している。これにより、Googleの広告収入の約75%を支えるChromeの価値は、一部の専門家によって1兆ドル規模と評価されるまでに至っている。
主な新機能・特徴
- Gemini in Chrome: 複数タブをまたいでの内容の比較や要約、過去に見たウェブページの検索など、ユーザーの文脈を跨いだ助けをする機能。
- AI Mode in Omnibox(アドレスバー): 検索バーから直接AIモードを呼び出し、複雑な質問に対してその場で応答、サイドパネルでの表示などが可能に。
- Ask about this pageなどページ単位の要約/解説機能: 今見ているページの内容をAIに尋ねて理解を助けてもらう。
- エージェント機能(agentic capabilities): 将来的には予約の手配、オンラインショッピングの代行操作など、ユーザーの代わりに複数ステップのタスクを自動で行う可能性。
- セキュリティ・プライバシー強化: パスワードマネージャーでのワンクリックでのリセット、偽ウイルス警告/詐欺行為の検出など。
- Googleエコシステムとの連携強化: YouTube、Maps、Calendarなど他のGoogleサービスから文脈を取り込むことで、タブを行ったり来たりせずに情報利用が可能に。
このアップデートは、まずアメリカ(Mac/Windows、言語設定が英語のユーザー)を対象に始まっており、順次他国やモバイルにも拡大予定。日本の予定はまだ分からない。
このChromeの刷新は、マーケティングに根本的なパラダイムシフトを迫るだろう。AIエージェントがユーザーとコンテンツの間に介在することで、従来の検索エンジン最適化(SEO)戦略は再考を迫られる。キーワード検索の代わりに自然言語での対話が主流となるため、マーケターはユーザーの意図に合わせたコンテンツ戦略へとシフトする必要がある。別の言葉で言えば、本当にユーザーに役にたつコンテンツかどうかという、当たり前の話になる。
また、AIエージェントによる自動的な購買行動は、広告のあり方も変える。クリックやトラフィックを増やすこと以上に、AIが情報を理解し、適切な推薦をするための構造化されたデータ」やリッチなコンテンツの提供が重要になるだろう。これも、求められるコンテンツで、買いやすい遷移構造化をするかどうかだ。
AIが日常のブラウジングに深く入り込むことで、マーケターは、いかにしてAIに自社ブランドや製品を正確に認識させ、ユーザーに推奨させるかという新たな課題に直面する。これは、単なる広告やプロモーションを超え、AIエージェントと共存する新しいデジタルエコシステムの構築が求められる時代の始まりと言えるだろう。