Nvidiaのこと

by Shogo

金には縁遠い。投資なんて性分でもないし、未来を読む自信もない。それでも僅かばかりの投資信託は続けている。NISA が始まってから積み立てもした。価格なんて見ていない。すぐに使う当てもない金だから。

とは言え、毎朝開くNew York Timesのビジネス面には、S&P 500 とDow、NASDAQの指数が表示される。赤だったり緑だったりする。ただそれだけのことだ。

しかし、研究のためにテクノロジーを追っていれば、Nvidiaの名前は嫌でも目に飛び込んでくる。昔、パソコンの広告を作っていた頃は、単なるグラフィックボードの会社という認識だった。それがこの数年、AIの進化とともに、Nvidiaは毎日のように紙面を飾る存在になった。しばらく前には、史上初めて5兆ドルの時価総額を達成した企業として一面トップに躍り出た。

今朝読んだ記事は、S&Pの取引金額に占めるNvidiaの比率が高すぎることへの懸念だった。個人的には、投資額も大したことないし、積み立てだから価格が暴落してくれれば安く買える。むしろ積極的に暴落してもらいたいくらいだ。

現時点でS&P 500は6600を超えている。1年前の水準など覚えていないが、相当上がっているのは確実だろう。記事によれば、Nvidiaを始めとする実質7社でS&P 500の34%以上を構成しているという。

ChatGPTに調べてもらった最新の数字は以下の通りだ(多少疑ったほうがいいのかもしれないが、個人的には正確でなくても構わない)。

1位 Nvidia 約7.3%
2位 Apple 約6.7%
3位 Microsoft 約5.9%
4位 Amazon 約4.0%
5・6位 Alphabet(クラスA・C合計で約6%強)
7位 Broadcom
8位 Meta
9位 Tesla
10位 Berkshire Hathaway

Nvidiaが7.3%。数日前には、GoogleのLarry Pageの資産がGemini 3.0の登場で株価が上がり、Jeff Bezosを抜いて世界の資産家2位に浮上したという記事を読んだばかりだ。これを見ても、株価がいかにAI産業に依っているかがわかる。現在の市場集中度(上位10社で約40%)は、2000年のドットコム・バブルのピーク時(約30%)を遥かに超えているそうだ。

記事の論旨は明快だった。この異常な集中が、いずれバブル崩壊でS&Pも含めて株価を奈落へ引きずり込む可能性が高い、と。そもそも人間は楽観論よりも悲観論に惹かれる生き物だ。

「歴史は繰り返さないが、韻を踏む」。Mark Twainの言葉とされるこの警句は、現在の市場環境に不気味なほど当てはまる。当時の主役はCisco Systems、Intel、Microsoft、そして今はなき、悪名高いWorldComやEnronだった。特にCiscoは「インターネットの配管工」として、現在のNvidiaと同じような位置付けにあった。誰もがインターネットの未来を信じ、そのインフラを独占するCiscoの株を買い漁った。しかし顧客であるドットコム企業たちの収益化が遅れ、設備投資が止まった瞬間、Ciscoの株価は80%暴落し、その後20年以上、高値を更新することはなかった。

AIへの期待は、当時のインターネットへの期待と同じくらい、いや、それ以上に巨大だ。本当にAIが富を生み出し、現在の期待が実績となるのであれば、株価は維持されるのかもしれない。しかし、これほど、とてつもない金額の投資を目の当たりにすると、その日が来ることをあまり期待していない。その意味で、私の小額の投資は砂上の楼閣ということなのだろう。

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