ライカが身売りか?

by Shogo

二十数年前からライカを使い始め、その後に数種類使っていたマウントをライカをメインにした。今は、ニコンのフィルムカメラを2台持っている以外は35mmはライカだけだ。

今でも中野のフジヤカメラで初めてMを手に取った日のことを、よく覚えている。レンジファインダー独特の小さなシャッターの音やなめらか巻き上げレバーの感触。今でも蘇る。そしてファインダーを覗くと世界の輪郭が鮮やかだった。あの感覚が、ライカというブランドの核にある。その後、Mシリーズのボディとレンズをコレクションして、MシリーズはM6まではコンプリートした。最近はデジタルがメインになってしまったが、その頃買ったレンズは常用している。今では、ライカレンズが高騰して、とても手が出ないので、その頃に買ったレンズを使っている。28mmから135mmまでを数本ずつ持っているので不自由はしない。

そのライカが、売りに出されるかもしれない。

2026年1月、ブルームバーグが「ライカの支配株を10億ユーロ規模で売却する協議が進行中」と報じた。報道によると、候補として名前が挙がっているのは、中国系の投資会社HSG、そして欧州のプライベートエクイティAltor。あくまで初期段階の協議で、成立の保証はないという。

だが、売却の噂から調べてみると、ライカの業績は悪くない。むしろ絶好調だ。2024/25年度の売上は約5.96億ユーロで、前年比7.6%増。カメラ事業に加えて、スマートフォン向けのライセンス事業や、プロジェクター、腕時計、眼鏡レンズといった周辺領域も収益を押し上げているようだ。経営が苦しいから売るのではなく、「今が高く売れる」から動いている、というのが実情のようだ。

現状の事業構造

ライカの収益は、ハードウェアとIPライセンスの二階建てになっている。

一つ目の柱はカメラとレンズ。MシステムやQシリーズが中核で、Qは新しい富裕層を巻き込み、今やキャッシュカウだ。双眼鏡などのスポーツオプティクス部門も堅調で、欧州では11.4%、アジアでは7.3%の成長を記録している。

二つ目はシャオミ(Xiaomi)との戦略的提携だ。これは単にロゴを貼るだけの話ではなく、光学設計から画像処理の最適化まで踏み込んだ共同開発で、ライセンス料という利益率の高い収入を生んでいる。ファーウェイとの提携が終わった後も、この路線は太くなる一方だ。パナソニックやシャープとの協業はもうないのかもしれない。」

ライカの製造体制は、ドイツのウェッツラーとポルトガルのファマリカンに分かれている。ウェッツラーはMシステムの組み立てと研究開発の「聖地」で、熟練工が手作業で仕上げる。一方、ファマリカンは光学ユニットや中価格帯製品を効率よく生産する拠点として機能し、従業員の約3割がここに集まっているようだ。コストと神話のバランスを、巧みに取っている。

さらに、2023年にはiPhone用カメラアプリを手がけるFjordenを買収した。物理的な道具としてのカメラから、デジタル体験へと、ライカはデジタル・ネットワーク時代に歩みを進めている。

今後の売却の可能性

報道によると、売却を急ぐ理由は、現行株主の都合のようだ。

現在の株主構成は、カウフマン家が56%、ブラックストーンが44%。ブラックストーンは2011年に約1.3億ユーロでライカ株を取得したが、今回の評価額は10億ユーロ。投資から15年近くが経ち、企業価値が約8倍に膨れ上がった今、「出口」を探すのはプライベートエクイティとして自然な行動だ。

加えて、ライカの業績が好調なのも追い風になっている。売上は4年連続で過去最高を更新し、高価格帯カメラ市場では世界シェアの約4分の1を握る。ファンド目線では、これ以上ないタイミングかもしれない。

一方で、カウフマン家の意向は分からないようだ。アンドレアス・カウフマン氏は2004年にライカを救い、倒産寸前の会社を高級ブランドに育て上げた立役者だ。彼が完全に手を引くのか、それとも一部株式を保持して経営に関与し続けるのか。そこが、今後の方向性を左右するだろう。

ライカが売られるかもしれない、というニュースは、ライカカメラ利用者には少し寂しい。けれど、ブランドの「らしさ」を守りながら収益モデルを広げる、という綱引きは、今に始まったことではない。現会長のカウフマン氏が会社を救ったときも、ブラックストーンが資本を入れたときも、ライカは、何も変わらず、そのクラフトマンシップは何も変わらなかった。だから、何が起ころうとも、あまり変わらないと楽観的には考えている。

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