隕石軌道変更実験

by Shogo

NASAが、今週、小惑星に狙いをつけて、その軌道を修正するテストに成功したそうだ。

この小惑星はディモルフォスと呼ばれる幅153メートル程度の小さな岩石である。この小さな小惑星はディディモスという、より大きな小惑星の周りを11時間55分ごとに周回している。この小さな方の小惑星に、小さな宇宙船を衝突させて小惑星の軌道を変更することに成功した。

このNASAの実験はDouble Asteroid Redirection Test(DART)と呼ばれる。なぜダブルがついているのかよくわからない。この実験用の小さな宇宙船を昨年の11月に持ち上げた。この小さな宇宙船は、アメリカの冷蔵庫程度の大きさのものだそうだ。

この小さな宇宙船が時速22,000キロを超えるスピードで、ディモルフォスに衝突しその軌道を変更することに成功した。その模様は宇宙船に搭載されたカメラで衝突の瞬間まで捉えられている。また地上のたくさんの宇宙望遠鏡からも捉えられ、ハップル望遠鏡でも観察を行ったようだ。

NASAは宇宙から飛来する小惑星の危険を調査し、衝突の可能性がある場合には、それを排除することをミッションに加えている。今回の件も、そのためのテストのようだ。NASAの調査によれば、現時点では近い将来に地球に衝突する可能性のある小惑星はまだ観測されていないと言う。今回の実験は仮に発見された場合のための対策のテストと言うことだ。

6,600年前に巨大な小惑星が地球に衝突して恐竜を絶滅させた。メキシコのユカタン半島でその落下地点の痕跡が発見されており、このことは事実であり、その時期も正確にわかっている。

この出来事が、たくさんのイマジネーションを生み、多くの物語が創作された。古くは映画の「アルマゲドン」や「ディープ・インパクト」だし、最近では「ドント・ルック・アップ」などが思い出される。日本映画でも新海誠の「君の名は」は、隕石衝突のお話だ。同種の映画や小説は数限りなくある。

ちょうど先週、房総半島方向で大きな火球が観測されて話題になった。毎日のように地球に向かって隕石が落下してきている。問題は巨大なものが来ないかだ。

NASAによれば現時点の観測で、地球に向かって衝突する軌道にある大きな隕石はないとされている。「ドント・ルック・アップ」では、ないはずの巨大惑星が新たに発見されるところから物語が始まる。そのようなこともあるかもしれない。

恐竜は2億年かけて進化し、地球の覇者となった。それがたった1つの小惑星の衝突で絶滅してしまった。それから6,600万年。人類の祖先の誕生まで遡っても、たかだか500万年。それが、その人類の祖先が進化し、我々につながるホモサピエンスが登場するのが、20万年から30万年前。ネアンデルタール人などを滅ぼして地球の支配するようになったのが3万年前とされている。

そのように考えると人類の歴史は、瞬きをするような間のことだ。私には関係ないが何千万年後に人類がまだ生存していて、巨大隕石が地球に衝突する可能性もないわけでない。

恐竜を滅ぼした小惑星は、直径10キロメートルとされている。今回のNASAの実験の小惑星はそれに比べればただの石ころだ。飛んでいった宇宙船も冷蔵庫サイズだ。実験としては、それで成功なのだろう。

実際に10キロメートルの直径の小惑星が飛来した場合に、それの軌道を変えるための大きさの宇宙船を開発するのは、単純に力学の問題なので、頭の良い人がそれを計算してそれに対応するのだろう。軌道変更に対応できる大きさの宇宙船と爆弾などのインパクトを加えるものを搭載するのは単純に計算の問題だ。

今のところ地球に衝突する可能性のある小惑星が観測されていないと言うことなので、多分そのような事態が発生するのは、今から何百万年も何千万年も先のことだろう。杞憂と言う言葉があるが、心配するほどのことでもない。それでも、巨大隕石の衝突に対応しているNASAが偉いのか、それとも杞憂がすぎるのか。どちらにせよ、アメリカ人の税金で賄われている。

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