Perplexityの方向転換

by Shogo

AIの普及が始まった頃、好奇心からChatGPTを使い始めた。しかしすぐに幻滅した。遊びでは良いのだが、調査や研究で使おうとすると情報が古いことやハルシネーションが多かったことだ。しかしその後、Perplexityを知って、検索と組み合わせて使えるので出展が明示されていて信頼できるので、一時は調査研究のためにPerplexityばかりを使っていた

だが、2024年11月、Perplexityは広告モデルという収益の柱を立てようとした頃から、その姿勢に疑問を持つようになっていた。チャットボットの回答直下にスポンサー付き回答を表示する、その形式は「ラベルを貼れば透明性は確保できる」という前提に立ったものだった。AIサービスと言う信頼性が重要なものに対して、広告を入れてラベルだけで信頼が担保できると言うのはあまりにも身勝手だと思ったからだ

だが広告付きプランの実験は終わったようだ。 2025年後半から広告表示は段階的に縮小され、2026年初頭には幹部が「今後、広告を導入する計画はない」とFinancial Timesに語るにいたっている。記事の中の、同社幹部の言葉は明快だった。

「広告の課題は、ユーザーがすべてを疑い始めてしまうことだ」

これは私の懸念とも同じものだ。広告にラベルを貼っても、ユーザーの脳はそのノイズを忘れない。正確な情報を提供することを事業の核に置くと決めた以上、疑惑の種を自ら蒔くことはできない。Perplexityは、そういう判断をしたのだったと思う。

競合他社との対比

同じ時期、OpenAIはChatGPTの無料ユーザーおよび低価格の「Go」プランユーザーへの広告表示を開始した。「回答の内容に広告は影響しない」という保証は添えられているものの、ユーザーのなかに疑念が芽生えるのは避けがたいかもしれない。

一方でAnthropicは、OpenAIの判断をスーパーボウルの広告などで公然と揶揄し、「ClaudeはAIを仕事や深い思考の場で役立てるという使命に反する」として広告を導入しないと表明した。GoogleはAIモード検索には広告を組み込んでいるが、Geminiチャットボット単体にはまだ広告を入れていない。

そして、Perplexityが向かう先は、企業・CEO向け有料サービスの拡充のようだ。 サブスクリプションを軸に据えることで、信頼こそが最大の資産というメッセージを行動で示し始めた。

「Hey Plex」——スマートフォンとの統合

収益モデルの転換と並行して、Perplexityはもうひとつ重大な一歩を踏み出した。Samsung Galaxy S26シリーズへのシステムレベルの統合だ。

「Hey Plex」、この四文字のワードが、次世代Galaxyデバイスに実装される。 従来の「Hey Google」「Hey Bixby」と同様にOSに直接組み込まれ、サイドボタンの長押しからも起動できる。単なるアプリとしての搭載ではなく、Notes、Calendar、Gallery、Reminders、Clockといった純正アプリおよびサードパーティアプリを横断して動作する、エージェント型の統合だ。

Samsungの調査によれば、ユーザーの約8割がすでに2種類以上のAIエージェントを使い分けているという。Perplexityの統合という設計思想の背景にあるのは、 単一のアシスタントにすべてを集約するのではなく、目的や文脈に応じて複数のAIが共存・連携する「マルチエージェントエコシステム」ということだ。それがSamsungの描くGalaxy AIの未来形だという。

プラットフォームとしてのAI

ここで見えてくるのは、Perplexityという会社の戦略の輪郭だ。広告を捨て、信頼を買い、デバイスに深く根を張る。それはGoogleが二十年かけて積み上げてきた覇権の構造に、まったく異なる角度から挑む試みかもしれない。

AI検索は今、単なる検索の進化形を超えつつある。スマホのOSに埋め込まれ、タスクを跨ぎ、文脈を記憶し、複数のエージェントと協働する。そういう存在になろうとしている。その世界で信頼されるAIになれるかどうかは、回答の精度だけでなく、信頼性が重要だ。

Perplexityが広告を廃止した判断は、ひとつのコスト削減や方針変更ではない。それは、AIとユーザーの関係性そのものをどう定義するか、という宣言だったろう。

そして、この方向性は、どこかの企業に似ている。そう、Appleだ。だが、Appleの問題は、まだ本格的なAIの統合ができていないことだ。

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