ニューヨークタイムスにLINEの運営会社を巡って日韓関係にヒビが入る可能性があることを報じた。
尹錫悦大統領就任以来、日韓関係は一時の最悪な状況から、大きく改善している。しかし、LINEを運営するLINEヤフーの親会社のソフトバンクと韓国ネイバーによる、 所有権割合の見直しに端を発して、両国関係が再び悪化するのではということが記事の内容だ。
発端は、昨年2023年10月に発生した情報漏洩事案だ。これを調査した総務省は、今年に入って2度の行政指導を行った。主な内容は、セキュリティ対策の強化とネイバーとのネットワーク分離の早急な実施だ。LINEのデータ管理は、ネイバーの韓国にあるデータセンターに委託されているが、この委託の終了を求めている。また、情報漏洩の際には、データ管理はネイバーの中国子会社に再委託されていたことも報道されている。これも明確に実態がわからないが、問題になっている。
総務省は、さらにLINEヤフー資本的支配関係の見直しを含め、LINEのデータの適切な管理・監督体制の構築を求めた。この中で、総務省はLINEが国民生活に不可欠なサービスであるとして、ネイバーの介入を受ける可能性がある資本関係の見直しを求めている。だが、保有する株式の売却を求められたネイバーとソフトバンクの交渉は進んでいないようだ。そもそも、LINEを日本で立ち上げたネイバーが簡単に所有権を譲るとは思えない。
ソフトバンクとネイバーは、2019年にLINEヤフーを設立してLINEを共同事業とした。この時期に緊張関係にあった両国のトップ企業の経営統合として画期的な出来事と思えた。それから5年、日韓関係は緊張緩和に大きな進展を見せている。しかし、このネイバーとソフトバンクの合弁事業の所有権を巡る対立がどのような影響を日韓関係に与えるかだ。ニューヨークタイムズの記事のポイントはそこにある。
その記事によれば、LINEヤフーの所有権の見直しの動きは韓国で波紋を呼び、一部のアナリストや政治家は、日本が政治的圧力を利用して韓国の大企業であるネイバーを弱体化させようとしていると解釈しているという。この状況が、日韓関係に悪影響を及ぼさないことを祈るのみだ。LINEという社会のインフラのデータ管理という安全保障に関わる問題ではあるが、ただでさえ脆い関係が、この問題で影響が出てないかが心配になった。