OpenAIは、2022年11月30日にChatGPTプロトタイプ版を公開し、今のAIサービスブームのきっかけを作った。そして、2025年、OpenAIは新たに発表した「ChatGPT Agent」で、AIエージェントの時代を作る。従来型のチャットボットではなく、複雑なタスクを自律的に完遂できるエージェントが現実となりつつある。企業のデジタル戦略やマーケティング部門に与える影響は計り知れず、また個人にとってもインターネットの使い方が大きく変わるだろう。
AIエージェントとは何か
AIエージェントは、ユーザーの指示に応じて複数のステップを自律的に実行するAIシステムだ。たとえば、「競合他社の動向を調査して比較資料を作成してほしい」と依頼した場合、情報収集・分析・資料作成に至るまでを一貫して担うことができる。個人の場合には、「東京に行く交通機関を予約して」と依頼すれば、複数の選択肢から最適な方法を予約まで完了する。これは、AIエージェントが、ブラウザに保存しているIDやパスワードを使って自律的に予約を代行してくれるということだ。
ChatGPT Agentの特徴
- 専用の仮想環境上（ローカルPCからは独立）で動作
- テキスト・GUIブラウザ、ターミナルなど多様なツールをタスク内容に応じて切り替え
- 強化学習により自律的なステップ分割・実行
- 進捗可視化やユーザー介入機能を搭載（途中停止・内容修正が容易）
- マーケティング現場での活用シナリオ
- データドリブンな業務効率化
- リサーチ業務の自動化
マーケティングへの影響
サイト上の行動や購買履歴データをリアルタイムで解析し、個々のユーザーに最適化したオファーやコンテンツを表示する高度な施策が実現可能となる。
広告運用最適化も大きく変わる。複数メディアの運用データをAIが横断的に分析し、クリエイティブや配信タイミングを瞬時に最適化。属人的な運用から標準化されたオペレーションへと進化。
将来的にはAIエージェントが新たなユーザー層としてオンライン上に登場し、意思決定や購買行動を行う時代も到来するだろう。これにより広告配信やLPO最適化も、人間だけでなくAIエージェントそのものをターゲットにせざるを得ない、全く新しいマーケティング戦略が必要になる。
AIエージェントの進化は、個人の場合には、インターネット行動が大きく変わり、デジタルマーケティング現場ではワークフローにパラダイムシフトをもたらすだろう。リサーチ・自動レポート・分析・施策実行の統合による時間と成果の最大化と、ユーザー一人ひとりへのパーソナライズという二つの面で大きな変化が起こるだろう。
ただし、現段階では安全性・コンプライアンスと人間による品質保証・クリエイティブな介在を両立することについての、AIエージェント事業者側での安全対策やユーザー側での慎重な運用が求められるだろう。
