AIという言葉が飛び交う毎日だ。株価も含めて、バブルだろう。今朝のニュースでは、ChatGPTが大学共通テストの9科目で満点をとったと大きく取り上げられている。GeminiもClaudeもかなり良い点を取っている。ここを考えると、AIは、株価ではバブル的かもしれないが、実力は高く、多くの業務が実行可能なレベルに達していて、業務遂行ではバブルでないと言わなければならないだろう。
別の記事では、AIというシステムやサービスには見えない三つの階層が積み重なっていると論じられていた。それは、使うアプリ、その土台にあるOpenAIのGTP-5.2のような脳、そしてその脳を動かすエヌビディアの半導体とデータセンター。それぞれの層は、まったく異なる経済原理で動いているという。そして、崩れる順番も違うらしい。これは、面白い話だ。
第3層
もっとも危ういのは、いわゆるAIサービスを提供するアプリなどの事業社だという。OpenAIのGTPなどの既存AIを使って、使いやすいインターフェイスを付けて月額課金で提供する。創業は簡単だが、生き残りは難しいという。記事に出ていたが、Y Combinatorは「2026年までに99%のAIスタートアップが消える」と予測しているという。
理由は三つ。第一に、MicrosoftやGoogleといった巨人が、その機能を標準装備として無償提供してしまうこと。独立したAIアプリがWordに含まれる機能になれば、そのサービスは終わりだ。これは、これまでに何度も起こってきた。第二に、競合企業が数ヶ月で同じ機能をコピーし、価格競争に陥る。自社で脳・エンジンを持っていないから競争力はない。第三に、顧客の乗り換えコストがゼロに近く、囲い込みができないからだという。
ただし例外もあるようだ。プログラミングツール「Cursor」は、開発者のワークフローそのものに食い込むことで、単なる使いやすいインターフェイス事業社を超えた存在になった。プロジェクト固有のルールを理解し、複数ファイルにまたがる変更を自律的に調整する能力が、ユーザーを離さないという。しかし、こうした成功は稀だという。
今後、この層では、AIサービス事業社の淘汰が加速するのだろう。一番賢い選択は、事業を大手企業に売却する事なのかもしれない。
第2層
OpenAI、Anthropicといった、基盤モデルを作る企業は、より堅牢だが、それでも綱渡りをしているという。OpenAIは約1.3兆円の収益見込みに対し、エヌビディアから約100兆円規模のデータセンター投資を受けている。この乖離は、典型的なバブルの兆候だと見られている。
興味深いのは、これまでも多くの人が指摘しているように、エヌビディアが自社の最大顧客に資金を注ぎ込み、その顧客が再びエヌビディアのチップを大量購入するという循環構造である。これで、OpenAIは一息をついているとも言える。
すでに大学共通テストで満点を取るレベルに達しているから、今後は、単に賢いAIを作る競争から、「いかに効率よく動かすか」というエンジニアリングの勝負へ移るという。すべてのモデルが似た性能に収束すれば、体力のないプレイヤーは脱落し、2026年から2028年にかけて2〜3社の勝者へと集約されていくと見られている。実際、OpenAIとAnthropicは競合関係にありながら、標準化団体「Agentic AI Foundation」を共同設立するなど、協調の兆しも見える。これは、業界再編の予兆かもしれない。
第1層
エヌビディアに代表される半導体やデータセンターの層は、もっともバブルの懸念が少ないという。なぜなら、インフラは特定のアプリの成否とは無関係に価値を保つからだ。
2000年前後のドットコムバブルの時代に、過剰に敷設された光ファイバーは、バブル崩壊直後には無駄な投資と非難された。しかし、そのインフラがあったからこそ、後にYouTube、Netflix、クラウド化といった革命が可能になった。今のAI向け投資も、短期的には過剰建設の調整が入るかもしれないが、長期的な価値は揺るがない。なぜなら、AIインフラは今後も、事業社が変わっても使い続けられるからだ。
ただし、光ファイバーと違い、AIチップは急速に陳腐化する。技術の進歩速度が速く、古いモデルの価値は車のように下がるとも指摘されている。それでも、エヌビディアの2025年第3四半期の売上高は約5.7兆円に達し、データセンター部門だけで5.1兆円を記録した。これは虚飾の数字ではなく、現時点での実需を反映している。これを考えると、AIチップの陳腐化が進むということは、エヌビディアだけかどうかは別にして、AIチップの需要は今後も見込まれる。エヌビディアの株価は当面は安泰という事なのだろうか。
三層構造が示す未来地図
記事によると、AIバブルは、一度に破裂するのではなく、層ごとに時間差で崩れていくという
第一段階(2025年後半〜2026年)では、AIインターフェイス企業が機能吸収と価格競争で次々と消える。現在、評価額1億ドル以上のAIスタートアップは1,300社以上、ユニコーンは498社にのぼるが、その大半は生き残れないという。
第二段階(2026〜2028年)では、基盤モデルの統合が進む。性能が収束し、資本力のある企業だけが生き残る。3〜5件の大型買収が予想されるという。これが、OpenAIとGoogle の戦いという事だろうか。それを考えると、多くの事業分野を持ち、日銭を稼いでいるGoogleは強いかもしれない。
第三段階(2026年以降長期)では、インフラ投資は一時的に正常化するが、高水準を維持する。データセンターの一部は数年間は利用されないかもしれないが、やがてAIワークロードの拡大とともに埋まっていくのだろう。やはり、インフラは強いようだ。
結局のところ、AIという技術はバブルではなく本物だ。けれども、その波に乗っているすべての企業が、未来の岸にたどり着けるわけではないようだ。
