リンクはプロフィール欄にというのが、Instagramを使う際の常識だった。それは、Instagramが長年にわたって外部リンクの掲載を制限してきたからだ。ところが今、それが変わろうとしている。
Metaは現在、Meta Verifiedの有料サブスクリプション加入者を対象に、投稿キャプション内にクリック可能なリンクを埋め込める機能のテストを進めているそうだ。アプリのメッセージによれば、1ヶ月あたり最大10本のリンクが貼れるという。些細な変更に見えるかもしれないが、これはInstagramの根本的な設計思想に触れる話だろう。
リンク禁止が生んだ産業
なぜInstagramはリンクを制限し続けてきたのか。理由のひとつは、ユーザーをプラットフォーム内に閉じ込めることで滞在時間を最大化するというロジックだろう。外部に人が流れれば、それだけ広告収益も目減りする。
だが、この制限は思わぬ副産物を生んだ。Linktreeに代表される「プロフィール欄リンク」サービス群の台頭だ。2022年時点でLinktreeは2400万人のアクティブユーザーを抱え、その企業評価額は13億ドルにまで達していた。ユーザーから見たInstagramの欠点を、外部の企業が埋めて巨大なビジネスに育てた。皮肉といえば、これほど皮肉な話もない。
有料化という本音
今回の動きには、もうひとつの文脈がある。Metaは同時期に、Facebookでも外部リンクを含む投稿を月2件に制限するテストを実施している。これも、Metaが広告収入だけでないビジネスモデルを模索している証左だろう。Meta Verifiedに加入すれば月2件に制限されない。Meta Verifiedの料金は月額14.99ドルから、最上位プランは499.99ドルにのぼる。
要するに、以前は無料で使えたものを有料会員の特典にする戦略だ。リンク共有という、かつて誰もが当たり前に使っていた機能が、今や課金のフックになりつつある。これはInstagram単体の問題ではなく、プラットフォーム経済全体が向かっている方向性を示しているかもしれない。
Linktreeの死は来るか
Meta Verifiedの上位プランに加入すれば、Reelsにもクリックできるリンクを貼れるようになったとの報告もあるようだ。プロフィール欄のリンクを経由せずに直接コンテンツから外部サイトへ誘導できるなら、Linktreeの存在意義は揺らぐ。2023年にMetaがプロフィール欄に最大5本のリンクを許可した際も、「InstagramがLinktreeを殺した」と騒がれた。
ただ、月10本という制限が本当に設けられるとすれば、頻繁に投稿するクリエイターにとってはまだ足りないだろう。プロフィール欄リンクのサービスが完全に不要になるとは思えない。少なくとも当面は、有料と無料、ネイティブ機能とサードパーティツールが共存する過渡期が続くのではないか。
有料化の向こうに見えるもの
この一連の流れを、単なる機能追加として捉えるのは浅い見方かもしれない。Metaがやっていることは、プラットフォームとクリエイターの関係を再編しようとする試みだ。情報流通の蛇口を誰が握るかという問題だ。これは、マーケティングの世界だけでなく、メディアのあり方そのものを問い直す。
無料で使えることを前提に設計されてきたソーシャルメディアが、徐々に使用料を求め始めている。それはある種の自然な流れかもしれないし、情報発信の格差を広げる危うさでもある。Instagramのリンク解禁を歓迎しながら、その条件をよく読む必要がある。
