TikTok Music is dead.

by Shogo

TikTok Musicが2023年11月28日に全世界でサービスを終了することが発表された。ユーザーは10月28日までにプレイリストを他のストリーミングプラットフォームに移行し、払い戻しを申請することができるそうだ。サービス終了後は、すべてのユーザーアカウント情報と個人データが削除される。

TikTok Musicは、TikTokで発見した音楽をSpotifyやApple Musicなどの既存のストリーミングサービスに直接保存できる「Add to Music」機能に注力するため、サービスを終了するとしている。

だが、理由は、そうではなく、Spotifyキラーになれなかったからだ。

TikTok Musicは、昨年夏にインドネシアとブラジルで正式に開始され、その後オーストラリア、シンガポール、メキシコにも拡大した。しかし、サービス開始以来、大手レーベルからの音楽カタログの調達の問題が起こり、レパートリー不足という課題に直面していた。

今年初めには、ユニバーサル ミュージック グループがロイヤリティに関する紛争をめぐってTikTokおよびTikTok Musicから音楽カタログを引き上げた。さらに、アプリは定期的なアップデートが行われず、その成長や新機能の導入について懸念が生じていた。この頃から撤退準備を始めていたのだろうか。

TikTok Musicの終了は、TikTokが音楽ストリーミング市場での競争よりも、既存のストリーミングサービスとのパートナーシップ構築に重点を置くことにしたと言うことになる。「Add to Music」機能を通じて、TikTokはユーザーをこれらのプラットフォームに誘導し、音楽発見の機能に特化すると言うことだ。だが、これは音楽配信プラットホームへの送客に過ぎず、収益にはならない。あるいは、そのような送客に伴う金銭的な取り決めがあるのだろうか。この点については発表されていない。

TikTok Musicの終了は、音楽ストリーミング市場における競争の激しさを改めて浮き彫りにした。SpotifyやApple Musicなどの大手プラットフォームがすでに市場を支配しており、新規参入者が成功するのは困難なのだろう。特に、大手レーベルからの音楽カタログの確保は、ストリーミングサービスの成功に不可欠だが、TikTok Musicはこれを達成することができなかった。オリジナル作品を配信するわけではないから、大手レーベルからの音楽カタログの確保は基本だ。

TikTokは、元々の音楽つきの動画と、「Add to Music」機能を通じて、音楽発見プラットフォームとしての地位を強化し、既存のストリーミングサービスとの連携を深めることで影響力を維持していくのだろう。音楽ストリーミング市場は今後も成長が見込まれており、TikTokはそこで「Add to Music」で貢献する。そもそも、TikTokの人気の理由は音楽にあった。だから、自配信サービスから撤退しても、ユーザーの音楽体験への貢献が必須だろう。そう考えると、収益がなくとも「Add to Music」をユーザーに提供するのかもしれない。

TikTok Musicのサービス終了は、音楽ストリーミング市場における競争の激しさと、プラットフォームとコンテンツ保有者のパートナーシップの重要性を示している。

プラットフォームビジネスの特徴は、基本的には勝者総取りだ。音楽ストリーミング市場では、コンテンツ保有者のパートナーシップを持つSpotifyとApple Musicが勝者の2社が生き残る。こ音楽の場合は2社だ。これ以上の余地がないのかもしれない。だから、TikTokは脱落して、「Add to Music」機能を通じて音楽消費の一部を担うことで生きてゆくのだろう。

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