時間が経ってしまったが、7月17日は世界絵文字デー (World Emoji Day)だった。Wikipediaによれば、7月17日になったのは、Appleのカレンダーアプリ『カレンダー』を表す絵文字が「JUL 17(7月17日)」となっていることに由来するそうだ。
日本語が世界で使われる例はたくさんある。SushiやTempuraだけでなく、EmojiやKawaiiもその例だ。
調べてみると、絵文字の歴史は、1990年代に遡る。最初の絵文字は、インターフェースデザイナーの栗田穣崇がドコモのi-mode向けに開発した176個のシンプルなピクトグラムだそうだ。このユニークな概念は日本国内で急速に普及し、やがて世界へと広まっていった。
絵文字の数は、Unicodeコンソーシアムという非営利団体によって管理されている。この団体は、1991年から電子テキスト処理における文字の標準化を担っており、1995年には最初の76個のピクトグラムを承認。そして2010年、爆発的な人気の高まりを受け、1,000個以上の絵文字を一度にリリースした。これが、現代の絵文字ブームの火付け役となった。
それ以降、Unicodeコンソーシアムは毎年新しい絵文字をリリースし続けている。2022年には112個、2023年には31個、2024年には肌の色や性別のバリエーションを含めると118個が追加された。しかし、2025年にはわずか8個にまで減少。これは、新たなアイデアが枯渇しつつあることを示唆しているかもしれない。2025年に追加されたのは「ビーツ」「シャベル」「英チャネル諸島サーク島の旗」など、かなりニッチなものが含まれていた。
絵文字は単に感情やモノを表すだけでなく、社会の変化を反映してきた。2015年には肌の色が選べるようになり、同年には同性カップルを表す絵文字も追加された。2017年にはノンバイナリーの選択肢が加わり、2019年には異人種間のカップルが登場した。このように、絵文字は多様性を表現するための重要なツールへと進化を遂げてきた。
2026年には、クジラのシャチ、イエティ、地滑り、バレエダンサーなど、164個の追加ピクトグラムが提案されている。このうち、完全に新しい絵文字はわずか9個だが、全体数は4,000近くに達する見込みだ。しかし、GIFやステッカー、アバターといった他のビジュアルコミュニケーションツールとの競争も激化しており、絵文字はユーザーの注目を集めるためにこれまで以上に工夫を凝らす必要があるだろう。
絵文字は、テキストだけでは伝わりにくい感情やニュアンスを瞬時に伝えることができる。これは、SNSやメールマーケティングにおいて、親近感を高め、エンゲージメントを向上させるために非常に有効だ。適切な絵文字を使用することで、個人の場合には繋がりを強化し、企業の場合には、ユーザーにメッセージをより強く印象づけることができる。
絵文字は単なる記号ではなく、ユーザーの感情や社会の価値観を映し出すことができたから、世界に広まったのだろう。これも日本が生み出した文化として誇らしいものだ。