イスラエルは技術大国として知られる。映像コーデックのH.264や iPhoneの顔認証システムのFace ID、 LINEなどの無料メッセージングアプリの原型のアプリICQなど数え切れないほど多くの技術がイスラエルから生まれている。人口950万人の国で、どうして多くの最新技術が生まれるのか不思議だ。ユダヤ人の頭の良さと言うものはあるのだろうが、国を挙げて技術開発に取り組んでいることが大きいようだ。
その1つの根拠として、モバイルインターネットのコストでは、イスラエルが世界一安いそうだ。このような国の政策も、最新技術の開発を支えているのであろう。
イギリスの調査会社cable.co.ukの調査によると、世界で最も安いモバイルインターネット料金はイスラエルで1ギガのコストが0.04ドルだ。
2位は、これも少し驚くがイタリアで1ギガあたり0.12ドル。知らなかったが、イタリアのインフラ普及は進んでおり、すでに5Gの人口カバー率が95%だ。これは、日本の2022年3月時点の93.2%より少し高い。3位は、世界のIT産業を支えているインドで、1ギガ当たり0.17ドル。フランスも安く1ギガ当たり0.23ドル。5位に入るのが中国で、1ギガ当たり0.41ドル。6位のスペインは1ギガ当たり0.6ドル。7位はナイジェリアで、0.79ドル。8位ブラジルが0.74ドル。9位のUKが0.79ドル。
ここまでが1ギガ当たり1ドル以下だが、10位のドイツは1ギガ当たり2.67ドル、そして11位の日本が3.85ドルといきなり高くなる。12位のスイスが7.37ドル。13位の韓国はかなり高くて12.55ドル。スイスはなんでも高いので理解できるが、韓国は異常に高い。どうしてだろうか。
この1ギガの価格は、現地の一般的な物価水準と比べて高いかどうかと言う判断も必要だが、単純な数字として日本のモバイルインターネットの価格は、イスラエルやイタリア、インド、フランスなどの国と比べると圧倒的に高いことがわかる。イスラエルと比べると、ほぼ2桁の違いである。以前菅政権時代に携帯電話料金を値下げが話題になった。その結果として携帯料金を下げるのではなく、ドコモ等はAhamoというセカンドラインでお茶を濁した。それっきり携帯電話料金の高さの問題はどこかに行ってしまった。この諸外国の価格を見れば、もう少し値下げが必要だろう。
デジタル化が遅れている日本において、多くの先進的な技術を生み出せるようなインフラや国としての積極的な投資も必要と思われる。日本もかつては新しい技術により製品を開発して世界に売って儲けてきた国だ。それが、今や世界に売れる製品は車だけで、これも先はどうなるかわからない。すでに貿易赤字国になっている。
携帯料金が高く、しかもスマホは、総務省のデータによれば、2019年には67.6%の普及をしている。これは、世界平均の3人に1人からすれば圧倒的な普及率だ。携帯電話会社が儲かるのはよくわかる。これだけ多くのこれだけ多くの資金が携帯電話会社に流れ込んでいるにもかかわらず、新しい技術が生まれてこないのはどうしてか。中国の工場の状況によりiPhoneの在庫がなくなって、多くの人がiPhoneが買えないと嘆いている。携帯電話の製造の長い歴史があり、しかもi-Modeと言う世界で初めてのモバイルインターネットを開発した国が、iPhoneを代替できるような国産スマホは存在しないのもおかしなものだ。
携帯電話料金値下げや新しい次世代のインターネット研究の助成金などの政策が全く見えない。未来に向けたビジョンがないことが残念だ。国の成長や経済の安定は、先進的な技術と大きな関係がある。グローバル化によって、世界で戦える技術や製品がない国は没落する。今のままでは、日本はさらに後進国になってゆく。産業や技術の未来を考えた、積極的な政策が求められる時期だが、誰も何も考えていないのだろうか。