Googleは、以前より公表していた、2024年後半に第三者クッキーの使用を終了する計画の詳細を発表した。これは、FirefoxやSafariにおける第三者クッキーの無効化から約4年後となる。何度も延期をしてきたが、今度は本当のようだ。Googleは世界最大の広告メディア会社であり、ユーザー追跡クッキーの廃止をゆっくりと進めてきた。Googleは、他社が廃止したあとでも、ウェブ上でのユーザーの動きを追跡し、関連する広告を表示するために第三者クッキーを使用している。
この動きは、Googleが「プライバシー・サンドボックス」と呼ばれる新しいユーザー追跡広告システムをChromeに導入した後に実施される。これにより、Googleは従来の広告追跡形式の第三者クッキーを廃止することができる。広告は、Googleの広告収入は、2023年上半期で、全収入の78%を占めているため、広告の機能を毀損する形での第三者クッキーの廃止は不可能だった。ようやく「プライバシー・サンドボックス」の効率が確認されたので、廃止に踏み切れたのだろう。
「プライバシー・サンドボックス」は、ユーザーのプライバシーを強化しつつ、広告主にとっても有効な広告手法を提供することを目的としているという。従来の第三者クッキーによる個々のユーザー追跡に代わり、Googleは「FLoC(Federated Learning of Cohorts)」などの新技術を採用。これにより、ユーザーは類似のウエブ上の行動する「コホート」に分類され、個人を特定せずにグループベースでのターゲット広告が可能になる。
Googleはまた、「トピックAPI」を導入する。これは、ユーザーの関心や興味を基にしたトピック(話題)を使用して広告をターゲットする。直接的な追跡を行わずに、関連性の高い広告をユーザーに表示する。これは、伝統的なメディアのターゲッティングと同様の手法だが、コンテンツをAIで分析して自動化するのであろう。
さらに「Conversion Measurement API」は、広告の効果を匿名で測定するためのツールだ。これにより、デジタル広告で最も重要なコンバージョンを把握して、広告主は広告キャンペーンの効果を正確に把握できるという。
Googleはブログ投稿で第三者クッキーの廃止を手順や技術的な要素を説明している。この投稿によると、この手順は「トラッキング保護」と呼ばれ、最初のテストは2024年1月4日に1%のChromeユーザーを対象に開始される。最終的には、デスクトップ版ChromeとAndroidにおいて全ユーザーに展開される予定だ。
この変更は、Googleが競合他社のユーザー追跡手法を停止し、自社の広告プラットフォーム(Google Ads)と世界で最も人気のあるブラウザ(Google Chrome)を統合することを意味する。2023年11月時点で、Google Chromeの世界シェアは62.85%だ。他社は4年前から廃止しているので、Googleも第三者クッキーを廃止することにより、インターネットから第三者クッキーは、ほぼ完全に消えることを意味する。
Googleは、このプライバシー機能を競合他社よりも4年遅れて実施することを「責任あるアプローチ」と称している。この「責任」は、Googleの株主に対するものであり、第三者クッキーを無効にすることが、以前はGoogleのビジネスモデルへの攻撃と見なされていたためだ。世界最大のブラウザと広告の企業としてのGoogleはこの責任を果たすために4年を要したことになる。