OECDが発表している2022年の実質時給最低賃金をドルベースで比べている記事を読んだ。驚いたのは日本の最低賃金は先進各国で最低だと思っていたが、アメリカの連邦最低賃金よりも高かった。ビリでなくブービーというところだ。この時給最低賃金は、購買力平価で比べられている。
上位から最低賃金をリスト化すると
- フランス13.8ドル
- オーストラリア13.6ドル
- ドイツ13.6ドル
- イギリス11.8ドル
- カナダ11.1ドル
- 韓国9.5ドル
- 日本8.5ドル
- アメリカ7.3ドル
- チェコ3.7ドル
- ブラジル2.4ドル
- メキシコ1.8ドル
しかしながら、このアメリカの連邦最低賃金はアメリカ全体で連邦政府が決めているもので、最低賃金は州ごとに大きく違っている。例えばワシントンD.C.は15ドルだし、カルフォルニアは14ドル、ワシントン州が13.69ドル、マサチューセッツ州が13.5ドルのように連邦最低賃金よりもはるかに高い州の最低賃金が決まっているようだ。
日本の8.5ドルを検証してみる。まず、IMFが発表した2023年の購買力平均購買力平価為替レートは1ドル90.6円だ。そして、日本の最低賃金は都道府県ごとによって大きく違っている。800円台から1000円台まである。これにIMFの購買力平価為替レート当てはめてみると、当然のことながら、日本の8.5ドルと言うのは妥当な金額になっていることがわかる。
アメリカが州ごとによって違っていて、多くの州はフランス、オーストラリア、ドイツなどのリスト上位の国よりも遥かに高く、実質的には日本は先進諸国の中で、最低ということが言える。
これは、日本の賃金の安さについて、従来言われていることの確認にはなっている。だが、これは日本人の能力や生産性が低いということではなく、むしろ経済システムに多くの問題があり、かつての稼ぎ頭の産業が衰退し、新しい産業分野が成長してないことの結果だ。
政治はいつものように混乱中で、何ら有効な国の経営ができていない。確かに経済政策は理論通りに結果が出ないから、多くの国でも成功事例は少ないのは事実だ。しかしながら、ベンチャーが様々な取り組みが数多くする中で、全体的なレベルが上がっていく。だから、できるとすれば、そのような個人やベンチャーが、新しい働きやすい社会や経済政策をとることが最善の道だろう。
しかし、この数十年にわたって、この国では何ら有効な対策がとられていない。その結果が、この実質賃金の最低水準ということだ。