アメリカの裁判所が、世界最大のドローンメーカーDJIを「中国軍事企業」に該当すると判断した。これは2024年10月にDJIが米国防総省を提訴し、同リストからの除外を求めていた訴訟での判決によるものだ。
判事は、DJIが中国共産党に直接支配されているとは結論付けられないとしながらも、同社が「軍民融合貢献企業」として中国政府から十分な支援と承認を受けており、国営企業が株式を保有している証拠があると判断した。
重要なのは、DJIが中国国家発展改革委員会から「国家企業技術センター」に指定され、多額の現金助成金、特別な金融支援、多数の税制優遇措置を受けている事実が決定的な要因となったことだそうだ。
DJIは2024年12月から事実上すべての製品の米国輸入が禁止される可能性に直面しており、同社製品は米国市場で在庫切れが続いているという。
今年、動画を始めるためにDJI Pocket 3を購入して動画を撮り始めているが、DJIの技術の高さに驚いている。画像は、小さな映像素子にも拘らず、ドローン技術を使ったスタビライザーは驚くほどの優秀さだ。日本企業が同じようなカメラを作れないのが残念だ。
ドローン市場は2025年に5490億円規模に成長する見込みという。今後の成長領域だろう。ここでの圧倒的な存在感のあるDJIのDJIの軍事企業認定は、グローバル企業が直面する、地政学的な新たな現実を浮き彫りにしている。
しかし、ドローンはまさに兵器だ。ウクライナの戦争では、毎日ドローンが兵器として使われている。ゼレンスキー大統領は、ロシアがドローンに核兵器を積む未来を想像している。
DJIの軍事企業認定は、同社のマーケティングに大きな影響を与えることは確実だ。直ちに商品の販売に影響はないようだが、どうなるのだろうか。ドローンやアクションカメラは、軍事とは関係なく、民生用にも世界中で強い需要が続くことも予想できる。地政学的な制約がDJIにどのような影響を与えるか見てゆきたい。