いつの頃からかAmazonで買い物をしようとすると、Rufusのボタンが現れている。
Amazonの強みは数億点という品揃えだ。だが、「ジャムの法則」として知られるように、人は品揃えが多いほど迷う。そこで考えられたのは、買い物特化のAIアシスタント Rufusだ。質問に答えるだけでなく、用途から商品を探し、カート投入まで手伝う。使っていないが条件付きの自動購入のような面倒なことまでできるようになるようだ。また、レビューのまとめもAIが行っている要約が表示されるようになったから便利になっている。
確かに、対話型で商品選択が行える。これまでは、キーワード検索して、見つけた商品のスペックを自分で確認して、さらにレビューを読んでという作業を行っていたことから比べると圧倒的に便利だ。
Amazonの説明では、RufusがAmazon内の情報に加えて外部情報も参照しながら、購入判断に必要な材料をまとめるという。つまり商品検索ではなく、商品理解の補助輪としてAIを置いているということだ。
Amazonが公開した記事によれば、生成AIとエージェント型AIを活用し、膨大な商品群の中から顧客が納得できる選択に最短でたどり着けるよう支援しているという。数億点の商品が並ぶプラットフォームでは、選択肢の豊富さそのものが摩擦になる。そこでAmazonは、キーワード検索を超えた意図理解型の仕組みを導入したのが「Rufus」だ。レビューの傾向、価格感度、配送スピード、返品率、過去の閲覧履歴といったシグナルを統合し、顧客が何を求めているのかを読み取る設計だ。
買い物特化型AIアシスタント「Rufus」以外にも、以前から使える画像検索機能の「カメラ検索」、そして代理購入サービス「Buy for Me」もある。
特に「Buy for Me」は興味深い。日本ではまだ使えないが、Amazon外で販売されている商品でも、顧客に代わって購入を完了させる機能で、価格追跡やレビュー要約、再注文といったタスクを丸ごと委任できるようだ。
また、Googleもショピング機能の実装を始めている。Googleは「エージェント型AI」だ。Google Cloudの報告書では、従来のAIが、指定されたルールでタスクをこなすのに対し、エージェント型AIは文脈を理解し、推論し、人間のような判断を下せるという。使っていないから分からないが、曖昧な依頼、たとえば「カジュアルだけど上品な服」といった曖昧なリクエストにも応えられるという。
興味深いのは、Googleがこの技術を顧客だけでなく従業員支援にも利用しようとしていることだ。店舗スタッフやコールセンター、在庫管理担当者がAIエージェントに情報検索や選択肢の整理を任せることで、人間は本来の役割に集中できる。B2CだけでなくB2B対応ということのようだ。
グローバルに広がるエージェント型の波
この動きはアメリカだけのものではない。インドのタタ・コンサルタンシー・サービシズ(TCS)の報告書によれば、小売業では、従来型AIの限界に達しており、エージェント型AIへの移行が競争力の決め手になるという。TCSが提案するのは、大規模な単一AIプラットフォームではなく、価格設定、在庫管理、人員配置、サプライヤー調整といった個別タスクを担う小型の専門エージェント群だ。
たとえば、カート放棄への自動対応や、リアルタイムでのサプライチェーン問題への対処。エージェントはリスク信号を検知し、最適な対応を選択し、手動介入なしに戦略を改善していくという。このようなエージェントは、TCSに限らず多くの企業が実装していくだろう。
買い物は、昔は店員と相談した。それがデジタル化によってキーワード検索とフィルタリングに変わり、今、再び対話へと戻ろうとしている。ただし今度の相手は人間ではなく、AIエージェントだ。AIエージェントが、意図を汲み取ってくれる存在になろうとしている。それが便利なのか、それとも何かを失うのか。答えはこれからの使い方次第かもしれない。
ただし、エージェント機能は、IDやパスワードを渡して依頼することになるから、個人情報保護のことを考えても、今の段階では利用する気にはならない。現時点では、どれかの生成AIに聞くか、Rufusに聞くということからAIをシッピングに利用するのが安全だろう。
