ChatGPTのテレビ広告

by Shogo

OpenAIが初めてグローバル規模で展開したテレビ広告キャンペーンが、話題になっている。

OpenAIは、今年のスーパーボウルで60秒のデジタルをイメージさせる抽象的な広告を行った。これは、キャンペーンと言うより、スーパーボウルという場を使ってブランド認知、企業認知を目的としたものだったろう。

今回のCMは35mmフィルムで撮影した人間味ある表現になっている。3つあるCM広告の内容は、スーパーボウルの未来的な技術の強調ではない。Simple Minds の「Someone Somewhere in Summertime」の音楽を背景に、懸垂で体を鍛える日常生活に、プロンプトとChatGPTの回答の文字が表示される。何の説明もないが、ChatGPTを使っている人であれば、この文字列を見るだけでChatGPTの機能が理解できるということだろう。他もドライブ旅行やクッキングという日常にChatGPTを使う内容だ。

消費者調査によると、米国成人の48%がAIツールが実際に何をするのか理解しておらず、現在のユーザーの約半数が、たくさんあるAIブランドを区別できていないという。

また、現時点のOpenAIの課題は、有料ユーザー数だ。ChatGPTのユーザーのうち、有料ユーザーはわずか3%にすぎないという。圧倒的な認知とユーザー数にもかかわらず、収益化は進んでいない。

だから、AI技術の訴求ではなく、OpenAIは、日常生活をテーマとして信頼と共感を中心に据えたブランディングへと舵を切ったのだろう。週次ユーザー数8億人を達成しても、ChatGPTを全く知らないし、機能を理解していない人が大多数だからだ。

このために、伝統的なテレビ広告で、理解と共感を獲得しようと考えていると思われる。だから、80年代のヒット曲(個人的に好きな曲だ)と古き良き、フィルムで撮影されたCMの映像で人間的なストーリーテリングで補う試みを試しているのだろう。

Pull-Up with ChatGPTと題されたCMでは体を鍛えようとする青年が、その方法をChatGPTに尋ねる。ChatGPTが最適な回答を示し、青年は、その回答を元に行動するイメージだ。

ChatGPTに必要なのは機能だけでなく「共感」が必要だと考えているのだろう。それを達成する最適な方法がテレビ広告というのが結論だったと思われる。確かに、フィルム撮影の映像は、その色味から温かさを感じて、OPenAIの意図を表現している。問題は、ユーザーが、それをどう感じるかだ。

広告業界での一般的な理解の一つは、人は機能ではなく、物語に共感してブランドを選ぶということだ。これが、今回のOpenAIの場合にも当てはまるかどうか。AI時代の先進的なChatGPTが、共感と信頼を獲得できるかどうか。そのようなブランドの確立が、OpenAIの持続的な成長に不可欠となる。   

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