アメリカの小惑星衝突回避実験

by Shogo

巨大な小惑星が地球に衝突する映画は、ちょっと考えただけでもたくさんある。まず「アルマゲドン」、「ディープ・インパクト」がすぐ思い出される。それから、新海誠の「君の名は」もその一つだ。小惑星により被害がもたらされるという恐怖が多くの映画を生み出してきた。

実際に、過去に地球と小惑星の衝突が何度もあったことを知られている。最も有名なものは6,600万年前と推定されている、メキシコのユカタン半島に衝突した小惑星だ。この小惑星衝突により、恐竜を始めとする生物の75%が死滅した。この衝突でできた巨大なクレーターが発見されている。直径が160キロメートルもある巨大なクレーターで、地球に壊滅的な被害をもたらした痕だ。周辺は全て瞬間に蒸発し、その爆発でできた雲が長い間、地球を覆ったという。

新しい例では、2013年にロシアに小惑星が落下して話題になった。その模様は映像でも捉えられており、多くの人が見たはずだ。幸いにも、その小惑星は上空で爆発し、小さな破片になって山の中に落下した。落下した小惑星の破片を集めて分析したところ、地表まで到達した破片の総量は4から6トンと見積もられている。その直径は10メートルとも言われており、もしそのまま地表に衝突していれば直径100メートルのクレーターが生じたと言う。

小惑星が地球に衝突している記録は数多くあり、小惑星の地球衝突による大災害は決して映画の中の出来事ではない。

この小惑星衝突と言う事態に対応するために、アメリカのNASAは、接近する小惑星に打ち込んで、方向を変え地球への衝突を避けるためのロケットの実験を行う。

このミッションは、the Double Asteroid Redirection Testで、略称で DARTと呼ばれるもので、アメリカのVandenberg Space Force BaseからSpace XのロケットFalcon 9を使って現地時間の水曜日夜に打ち上げられる。

打ち上げ後に、DARTは太陽を周回して、2003年に発見された小惑星Dimorphosに打ち込まれる。この小惑星Dimorphosは直径が160メートルあり、780メートルのさらに大きな小惑星Didymosを11時間55分かけて回っている。この2つの小惑星は、2年かけて太陽を1周しているそうだ。

実験の予定では、この小惑星Dimorphosの軌道を変えるために、DARTが9月か10月ごろに打ち込まれる。この話を聞いて少し心配になったのは、この実験の結果、今安定している小惑星が変えて地球のほうに向かってこないかと言うことだった。しかしこの衝突自体は地球から1,000万キロも離れたところで行われ、軌道の変更も地球には向かわない方向で、心配は要らないようだ。

衝突は、DARTが時速2万キロを超えるスピードでDimorphoに突入する。その模様はDARTに積み込まれたカメラで地球に送信され、我々もそれを見ることができるようだ。

この実験が成功して、小惑星の軌道を変えられるようであれば、今後あるかもしれない地球と小惑星の衝突と言う事態を避けられる。

このような実験を行うが、NASAによれば、今のところ100年以上にわたって地球に衝突するような小惑星の可能性はないと言う。NASAは小惑星のデータベースを作りその軌道や今後の動きをシミュレーションしている。現時点では危険な小惑星は発見されていないらしい。

NASAによれば、今週末には短辺15メートルと 長辺30メートルの四角い小惑星が地球に接近すると言うことだ。しかし接近するといっても、月と地球の距離の倍の位置を通過するので全く危険は無いと言う。このように、発見されている小惑星については今後の動きが予測されているので、これから100年以上も衝突はないということで、安心できる。しかしながら、さらに遠い宇宙から大きな軌道を描いて飛んでくる小惑星はデータベースにないので、それが地球に接近すると言う可能性はゼロではない。

DARTは、気分的には安心できるNASAの実験だ。アメリカの海外派兵や戦争などの活動には、多くの疑問符がたくさんつくが、今回のこの実験は人類のため地球のためには非常に良い計画だと感心している。

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