テキサス州の司法長官が、Facebookの親会社のMetaを、ユーザーの同意なく顔認識のデータを収集したとして訴訟を起こした。Facebookで集合写真などで表示される、顔認識のタグのデータのことだ。
この訴えによれば、Facebookが10年以上にわたって、ユーザーの同意を得ず、写真やビデオの顔認識データを取得し、このデータを第三者と共有し、商品化してきたこと、また、このデータを一定期間の後で削除していないことが、テキサス州の消費者保護法に違反しているとしている。
Metaは、アメリカだけではなく、ヨーロッパなど世界各地でたくさんの訴訟を抱えている。今回のテキサス州の訴訟もその一つとなる。2019年に、当時のFacebookは消費者のプライバシー保護違反問題に関して、アメリカ司法省と和解して、、プライバシー保護のために新たな体制を社内に設けることに同意して、55億ドルの罰金を払っている。
また、1年前の2021年には、イリノイ州で、Facebookがユーザーの許可なく顔認識データを利用したことに対する集団訴訟が起きた。この訴訟は、Metaが6億5000万ドルで和解が成立している。その後2021年11月に、Facebookは、保存されている10億人以上のユーザの顔認識データを削除すると発表していた。これがどのようになっているのか確認はされていない。
イリノイ州で、6億5000万ドルで和解したMetaは、今回は裁判で争う姿勢のようだ。それは現時点では顔認識データを利用していないと言うことなのだろうか。この裁判の行方はどうなるかわからないが、仮にテキサス州で、敗訴するか、あるいはまた和解が成立するようなら、アメリカの他の州、あるいは他の国で同様の訴訟が起こされる可能性がある。
Facebookの顔認証タグは確かに、ユーザーからは便利な面もある。しかし、仮にそのデータを今回の訴訟理由のように、第三者と共有したり、商品化しているとすればプライバシーの侵害になる。
GoogleフォトやAmazonクラウドで写真を保存した際にも、人物はまとまって表示される。これも、裏で何らかの形で利用されていると言うことも考えられる。このように考えると、タンス預金のように、写真もインターネットから切り離されたハードディスクなどに貯めていく以外方法はなくなるのであまり気にしすぎてもいけない。だが、利用する際には、規約をよく確認する必要があるのだろう。
FacebookやInstagram子会社を子会社に持つMetaは、収入の方々全てを広告に頼っているため、集めたデータを広告に利用する事が本業だ。だが、昨今のプライバシーデータの共有の同意のように、顔認識データが同意なく集められ商品化されれば問題だ。
そのうちにFacebookやInstagramから、利用規約を改正しました、同意してくださいと言うようなメールが来て、膨大な細かい規約の中に顔認識データの取得と第三者共有が含まれていて、気がつかないでまとめて同意するようなことにならないとも限らない。
街の中でも、警察や民間が監視カメラを設置して、監視ソフトウェアを使って、顔認識データを取得している。これも警察の場合には犯罪捜査として大義名分があるが、仮に民間が、そのデータを商業的に利用すると言うことになると同様の問題が発生するのだろう。