Googleが9月24日、AIモデル「Gemini」の大幅な値下げと機能強化を発表した。この動きは、AIサービスの競争の激化を反映していると思われる。AIサービスについては、先行したChatGPTのOpenAIを追う、GeminiのGoogleやClaudeのAnthropicが次々とサービスや機能強化を発表している。このような競争の結果、eコマースや小売業界を始めとした多くの会社でのAI導入を加速させるかもしれない。
今回の発表で最も注目すべき点は、Gemini-1.5-Proモデルの価格が50%以上引き下げられたことだ。これにより、特に中小企業やスタートアップにとって、高度なAI技術の導入がより現実的になった。
値下げだけでなく、Geminiの性能も大幅に向上しているようだ。新しいバージョンでは、一般的な知識や推論能力を測るMMLU-Proベンチマークで約7%のスコア向上が報告されている。特に数学関連のベンチマークでは、約20%もの大幅な改善が見られた。
また、新機能として以下の3機能が追加された。
- Gems:特定のタスクに特化したカスタムAIアシスタントを作成できる機能
- Imagen 3:テキストプロンプトからより高品質な画像を生成する高度な画像生成モデル
- Gemini Live:音声会話を通じて対話型AI機能を強化
これらの機能強化により、eコマース企業や小売企業は商品推奨、在庫管理、カスタマーサービスの自動化など、さまざまな分野でAIを活用できるようになる。特に、AI機能を活用したパーソナライゼーションの強化が行える。つまり、顧客一人ひとりに合わせた提案が容易になる。
今回のアップデートで、数学や視覚機能における高度な機能が導入された。このモデルはテキスト、コード、マルチモーダルアプリケーションなど、幅広いタスクに対応するよう設計されているために、1000ページのPDF、大規模なコード開発、1時間の動画など、より大きく複雑な入力を処理できるようになっている。
Googleのこの動きは、先に書いたように、OpenAIやAnthropicなどのライバル企業との競争が激化する中で、より多くの開発者をGeminiプラットフォームに引き付けるための戦略と見られる。eコマースや小売業界にとって、これらの進化したAIモデルを活用することで、顧客体験の向上やビジネスプロセスの最適化が期待できる。
このGemini-1.5-Proモデルは、Google AI StudioとGemini APIを通じて、制限はあるが開発者が無料でもアクセスできる。大規模組織やGoogle Cloudの顧客向けには、Vertex AIでも利用可能。今回の大幅値下げで、多くの開発者が、競合ではなくGoogleを選ぶことを狙っているもの思われる。