X(Twitter)に対抗して、MetaのInstagramチームが開発したテキスト共有アプリ「Threads(スレッズ)」が、2025年8月現在、月間アクティブユーザー数4億人を突破したことが発表された。これは2023年7月のサービス開始から約2年での急成長で、わずか5日で1億人を突破した当初の勢いを維持している。
Xは、イーロン・マスク氏による買収後、深刻な逆風に直面している。米国では月間アクティブユーザー数が2023年の7700万人から2024年の5500万人へと2200万人減少(30%減)している。利用率も2023年の27%から2024年の19%へと急激に低下した。
さらに憂慮すべきは広告収入の大幅な減少である。2022年10月以降、上位100社の広告主のうち75社がXから撤退し、2023年の広告収入は目標の30億ドルに対し25億ドルにとどまった。
Blueskyの着実な成長
分散型SNSのBlueskyも注目される存在となっている。2025年7月現在で約3600万人のユーザーを抱え、特にX離脱組の受け皿として機能している。招待制から一般公開への移行後、月間インストール数420万件、デイリーアクティブユーザー860万人を記録している。
Mastodonの安定成長
分散型SNSの先駆者Mastodonは2025年7月時点で月間アクティブユーザー数77万人と規模は小さいものの、安定したコミュニティを維持している。2025年1月には非営利団体への運営移管を発表し、より持続可能な運営体制を目指している。
Threadsの戦略的成功要因
競合サービスの中ではThreadsが大きな成長をしている。その要因は、Instagramとの強力な連携である。日本国内でInstagramのアクティブユーザーは4000万人以上とされており、この巨大なユーザーベースがThreadsの潜在的なユーザープールとなっている。実際、Threadsユーザーの約80%はInstagramからの移行組である。
Meta全体で見れば、全体のデイリーアクティブ利用者数(DAP)は、2025年3月時点で34.3億人に達しており、これらのサービスとの連携が、Threadsの成長を支えていることは間違いない。
差別化されたプラットフォーム設計
Threadsは最長500文字という、Twitterの140文字制限より長い投稿が可能で、商品のストーリーやサービスの価値を丁寧に伝えることができる。また、広告が少ない環境により企業アカウントの投稿がユーザーの目に留まりやすいという大きなメリットがある。
日本市場でのThreadsは2024年後半から2025年初頭にかけて前年比150%という爆発的な成長率を記録した。この成長は、Xのアルゴリズム変更や運営方針の変化に不満を持つユーザーの移行が主要因とされている。
Threadsの4億ユーザー達成は、従来のTwitter一強時代から、目的別・コミュニティ別に細分化されたSNS生態系への移行が進んでいることを意味する。2025年後半に向けて、Threadsがいかに独自性を維持しながら成長を続けるか、そしてどのような新しいコミュニケーション文化を創造していくかが注目される。