Led Zeppelinの「天国への階段」裁判が結審

by Shogo

Led Zeppelinの「天国への階段」のイントロのメロディーが過去の楽曲と類似していると言うことで訴訟が起こされていたが、アメリカの最高裁判所は原告の著作権侵害の訴えを棄却して結審した。

これは今年の3月に著作権違反には当たらないとしてLed Zeppelin側に有利な判決が出ていたが、原告側が最高裁での審理を求めていたもの。今回の最高裁の決定で原告の敗訴が決定し、Led Zeppelinの「天国への階段」は著作権違反はしていないという結論が確定した。

最高裁は、理由としてはイントロにおける類似がミニマムであり、類似性は明確でないとした。

この裁判は2014年に始まり6年かかって結審したと言うことだ。この2014年ごろから同様の訴訟がいくつもあり、Sam Smithの大ヒット「Stay with me」が、先日亡くなったTom Pettyの楽曲に類似していると言う訴訟が起こされた。これについてはSam Smith側が類似を認め、Tom Pettyの楽曲の作曲者であるTom Pettyともう1名を「Stay with me」の作曲者として、権利料を支払った上で、著作権収入の12.5%を支払うと言うことで和解している。

ちなみに、この両方の曲は大好きだが、音楽の素養がないせいか、全く似ているとは思わない。

同様にシックとウィリアムズの「ブラード・ラインズ」がMarvin Gayeの楽曲に類似しているとして起こされた訴訟では、約9億円の支払いを命じる判決が出ている。

この2つの事件では元の楽曲の作曲者の訴えが認められたが、反対に認められなかったのはケイティーペリーの「ダークホース」で、一度は約3億円の賠償金の支払いがの判決が出ていたが、今年の3月にその判決はひっくり返された。理由は、原告の楽曲の八分音符の繰り返しは独創的なものではなく、このジャンルの音楽ではよく見られるもので、著作権の侵害には当たらないとされた。

いずれにしても訴えられた楽曲とその歌手は大ヒット曲で莫大な収入を得ていたから訴えられたわけで、ヒットしていなければ訴えられなかったはずだ。Led Zeppelinの「天国への階段」は累計で6兆円以上の収入があったと言われている。

昔から音楽のパクリ問題はいくつも例があり、実際には日本でも裁判になったケースはある。有名な例は、小林亜星のCMソング「どこまでも行こう」の事件だ。テレビのテーマソングであった「記念樹」については「どこまでも行こう」の著作権侵害が認められ原告の小林亜星に賠償金が支払われている。

しかしパクリと言う噂が立つも裁判までいったケースが少なく、私たちも似ているなと感じていることが数多くある。これは、必ずしも盗作と言うことではなく楽曲を生み出すために記憶のどこかにあったメロディーが浮かんできたり、あるいは本当に偶然だと言うこともあり得る。

音楽だけではなくすべての芸術は模倣から始まると言われるが、元の作品に触発されて、新しく作品を作ると言うことが繰り返し行われ、その都度、元の作品に影響された新たな作品が生み出され続けているのだと思う。

すべての芸術家は全く新しいものを生み出すと言うことではなく、過去の作品の遺産の上で新しいものを生み出そうとしている。もちろん全く同じものを作ってそれを自分のものとして発表すると言うようなケースでは著作権侵害と言われても仕方がない。しかし触発された元の作品の一部が主要な部分になっていなければ著作権侵害とは言えないのではないだろうか。

日本の有名な例では荒井由美の「ひこうき雲」がプロコル・ハルムの「青い影」からヒントを得たといわれるが、どちらも素晴らしい曲で、荒井由実は全く新しい作品として新しい価値を作り出している。

この何年かの間に、アメリカで起こっている過去の楽曲の権利の継承者が血眼でヒット曲の類似点を探して訴訟を起こすような状況が日本にも及ばないことを望む。

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