TikTokがVevoと提携してコネクティッドTVでの存在を拡大している。VevoがTikTokでの音楽ヒットランキングに基づいて番組を制作する。この番組は、「Trending on TikTok」と言う番組で、TikTokので人気の高いビデオが紹介される。この番組は、FAST(広告付き無料配信ストリーミングTV)の中でも人気の高いVivo Popに登場し、1日に複数回放送される。TikTokは、すでにコネクテッドTV用のアプリを使い、AmazonのFire TV、Android端末、SamsungやLGのテレビなどでも見ることができる。これが、Vivoと組んで拡大する。今回発表されたVevoとの提携により、Vevoが配信しているRoku、Hulu、AmazonのFreeveeなど、幅広いプラットフォームでもTikTokが露出される。モバイルのTikTokだけでなく、家庭のテレビでTikTokをみる人が増えそうだ。
FASTは、“free ad-supported streaming TV”の略で、広告付きの無料サービスは人気集めており、急速に普及している。この人気チャネルのVivoで番組が作られることで、TikTokはさらに存在感を増していくものと思われる。
TikTokの責任者は、モバイル端末でだけではなく、コネクティッドTVと言う世界に20億台も普及しているスクリーンのも今後は狙っていきたいと話しているそうだ。
TikTokはユーザもますます増えて広告も好調のようだ。しかし、一方で先行きには暗雲も見られる。
年末に二つの出来事があった。一つは、アメリカ連邦政府は2023年の予算案の一部として、政府所有の端末ではTikTokを禁止する条項を可決した。もう一つはTikTokの禁止に賛成する人にとっては重要な情報が明らかになった。TikTokの親会社の中国ByteDance社が、TikTokアプリのIPアドレスを解析して、少なくとも3人のアメリカのジャーナリストを監視していることが明らかになったからだ。
これらのジャーナリストは、TikTokについての記事を執筆したことがあり、ByteDance社はTikTok社内の情報源を特定するために。TikTokの従業員のIPアドレスを監視し、誰がそれらのジャーナリストと接触したのか調べるために3人のジャーナリストの所在の監視を続けていたと言う。これは、アメリカのメディアで報道されており、ByteDance社のアメリカ人の監視として決定的な証拠となった。
これら2つのことを考えると、トランプ政権時代にTikTokをアメリカ国内では禁止にするか、あるいは親会社のByteDance社が、アメリカでのTikTok事業をアメリカ企業に売却するかと言う選択の話が再燃しそうである。米中対立は2023年に入ってもますます激化している。この流れの中で、TikTokの禁止はバイデン政権でも再び真剣に議論をされる可能性が高いと思われる。
もしアメリカでTikTokが禁止になるようなことになると、当然のことながら、日本国内でも禁止を求める声が出てくる可能性がある。順調なTikTokにとって2023年はどんな年なのだろうか。