最後の747

by Shogo

ボーイング747 、ジャンボと言った方が通りが良いのかもしれないが、最終機が完成して、今週引されると言う記事を読んだ。80年代には海外旅行をすると言う事は、747に乗ると言う事だった。その頃は747は何か特別の意味のある数字のように思えた。

プライベートではなくて、ニューヨークで働くようになって、仕事で日米間を出張するようになると、ビジネスクラスに乗れて嬉しかった。特に、747の2階席のビジネスクラスの席が好きだった。天井は低いものの、こじんまりとした空間で、CAのサービスも良かったような気がする。飛行機の中で狭い螺旋階段を上って上って先に空間があるのに最初は驚いたものだ。

読んだ記事によれば、設計が開始された1960年代から既に747は近い将来、超音速ジェット機にとって変わられると予想されていたそうだ。このために、747は乗客と貨物を想定した設計となり、飛行機の機首から容易に荷物が積める設計となったという。このため、操縦席は機体の前ではなく、機体の上部に収容をされた。その結果として気体の上部に膨らみが生じて、操縦席の後が1部客席として使われるようになった。あの小さなビジネスクラスの空間は、最初から意図したものではなくて、操縦席を設置するために結果的にできた。

747が1970年に初飛行して、ニューヨークからロンドンに飛んだ。そこから747は大成功する。多くの乗客を一度に運ぶことができるので、コストを削減でき、航空券を安く販売することができたという。この結果、海外旅行は70年代から80年代にかけて一般化して、多くの航空会社が747を運用することとなった。だから、あの時代に海外旅行が安くできるようになったのだと、その流れに納得する。

1989年に747-400が発表されて、ボーリングのベストセラーとなった。これは、その時代の最新技術でアップグレードされた747だった。確かに初号機就航から29年も経っている。

日本航空の広告でも盛んに「ダッシュ400」と言う言葉が使われていたことを思い出す。当時は日米貿易摩擦の時期で、日本航空はボーイングからたくさんの機体を購入していることをを広告していた。貿易赤字国になった今からすると隔世の感がある。

90年代半ばには、777が導入された。この飛行機はエンジン2基だけで、それまでは2基の飛行機は太平洋や大西洋を飛べなかった。この時点でルールが変わった。そこから、777が747を置き換えて行った。777にも出張などでよく乗った。この頃も大型機の時代でエアバスも747より大型のA 380導入している。

しかし、777やA380の大型機はあまり航空会社に売れず、小型の飛行機の時代に変わっていた。それは乗客の利便性からハブ・アンド・スポークでハブから大型の飛行機に乗り換えるよりも、出発地から乗り換えなしに目的地まで飛ぶが求められたし、航空会社にとっても大型機よりも中小型機を飛ばした方が効率が良かった。この結果、777もA380も消えていった。

もう長い間747を見たことがない。見るとすると、アメリカ大統領専用機のエアフォースワンだけだ。10年ほど前に、アメリカのどこかの空港で実物を見かけた。

エアフォースワンをニュースなどで見ると、あの747の機体上部の膨らみを見て懐かしく思う。しかし、現時点でもルフトハンザ、大韓航空、中国国際航空などがまだ747を運用しているようだ。それだけではなくて、多くの運送会社が貨物線用に747を使い続けていると言う。今週引き渡される最後の747 は747の最終形で747-8貨物機だ。アトラス航空向けに作られたものだそうだ。最終の製造された機体は1574となったと言う。一機種の製造数としては最高なのかもしれない。なんといっても初号機から50年も経っている。それでも、製造された多くに機体は現役で、今回も3機が製造された。もう見ることはあまりないが、これからも何十年も世界のどこかで747のある膨らみのある機体が飛んでいるのだろう。

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