Googleが、Bardと言う名前のチャットボットをアメリカとイギリスの限られたユーザに提供してテストを開始した。Open AIのChatGPTが公開されてから4ヶ月、MicrosoftのBingがChatGPTの機能を組み込んでから2ヵ月遅れとなる。
検索の市場で独占的な地位を築いてきたGoogleがChatGPTによってその地位を奪われる危機感からGoogle社内では緊急事態が宣言されていたと言う。
しかし、Googleは慎重であった。Googleは2015年からBardのもとになる技術をテストしてきたそうだ。ChatGPTもそうであるように、 Bardは、常に信頼できる回答が生成できるとは限らないことから、公開については慎重だった。特に問題があるのが、女性や有色人種に対する偏見が現れる可能性があることだそうだ。ChatGPTやBardのような大規模言語生成モデルは、インターネットのデータを大量に読み込んで、そこから回答を再生するために、インターネット上に溢れるヘイトスピーチや偏見による表現を学習してしまうために起こる現象だ。素人考えでは、そこに1枚フィルターを入れればいいような気がするか、そんな単純なことでもないのだろう。
Bardの開発意図として、メールや詩の下書きをするためのクリエイティブツールとして使うことが想定されていたようだ。だが、ChatGPTと同じように会話によってアイディアを出したり、ブログ記事を書いたり質問に対して事実や意見で答えることもできるそうだ。
今回公開された Bardは、MicrosoftのBingのように検索画面のに組み込まれてはいない。公開された画像を見ると、ChatGPT のように、検索とは別の独立したページとしてBardの画面が作られている。
Googleの検索では、検索画面に表示される検索連動型広告のリンクがクリックされたときに、課金されるために、そこにBardを組み込んで検索結果のクリックを減少させないと言う配慮のためと思われる。過去20年以上にわたって、検索の市場から莫大な利益を上げているGoogleが、その本業を危険にさらすようなBardを検索と同じ画面に表示される事はできなかったのであろう。ただし、Bardの画面の1番下には「Google it」と言うボタンがあり、そこから検索に飛んでことができる。
今後Googleとしては、通常の検索とBardの取り扱いについて、広告ビジネス面からどのように対応していくのか注目される。Bardをどう使うのか、かなり難しい判断にGoogleは直面している。
しかし、AIの時代は始まっており、Googleも先週企業向けのビジネスツールである「Docs」や「Sheets」にAIを導入することを発表した。これは、先週Microsoftがオフィス製品に対してOffice365 co-pilotと言う形で、AIを組み込んだことへの対抗策である。
Googleは企業向けサービスだけではなく、今後20以上のサービスや製品にAIを導入するそうだ。それはアパレルのショッピングの際の試着や、YouTubeの動画、Pixelスマホの写真機能での背景画像の作成などが含まれていると言う。
今後様々の製品やサービスにAIが使える事は確実であり、すでに何年も前から予想されていたことがChatGPTの登場で加速していることがよくわかる。