The Postscript Murder

by Shogo

Elly GriffithsのThe Postscript Murder 読了。春休みで、忙しくて時間がかかってしまった。ミステリーを読むのは寝る前の30分ほどだけだが、出かけることも多く帰ってすぐ寝てしまったためになかなか読み進められなかった。Postscript Murderは、謎解きの面白さが、Hounslow Eastに比べると多く、こちらの方が好みだ。

The Postscript Murderは、「窓辺の愛書家 」として翻訳もされている。このミステリーがスゴイの海外作品で選ばれていたので、読んでみた。刑事ハービンダー・カーシリーズの第2作。この刑事が気に入ったので、お気に入りのシリーズ登録決定だ。

ミステリーの組み立てとしては、動機などのミステリーの組み立てが安易であり、展開も雑ではあるものの、登場人物が魅力的に描かれていることで補って余りある。この小説で新しい犯罪捜査官ハービンダー・カーに出会うことになった。イギリスのサセックスの警察官で、インド系イギリス人。両親と兄弟と一緒に暮らしている。イギリスではマイノリティのインド系で、女性でゲイという設定だ。彼女の内面のつぶやきも語られて興味深い。

前に読んだHounslow Eastでは、イギリスのイスラム社会の文化や宗教の習慣、体制に対する態度などが面白い点だった。このThe Postscript Murderでは、イギリスにおけるインド社会の一端を知ることができた。例えば、インド系はエリザベス女王を強く敬う態度が強いなどは、まったく想像もできなかった。むしろ逆かと思っていた。

M W クレイヴンのワシントン・ポーのシリーズのポー警部も同じイギリスの警察官で、同じく複雑なバックグラウンドを持つ。やはり、中心人物が魅力的でないとミステリーでも面白くない。ハービンダー・カー巡査部長の登場する第一作のThe Strangerも読んでみなくては。

このThe Postscript Murderの魅力は、ハービンダー・カー巡査部長だけでなく、登場する3人の素人探偵のバックグラウンドや殺人事件への対応の面白さだ。それがあるおかげで、雑な展開でも面白く読み進めることができた。この辺りは、Elly Griffithsの小説家としての実力なのだろう。

登場人物に、80代・90代の老人がいて、典型的な老人像とは違い、それぞれ魅力的だ。とはいうものの、それぞれ老境の寂しさも抱えており、その年代までは、まだ少し間があるものの自分としても共感できることが多いのが、この小説の面白さだったのだろう。

Hounslow Eastに比べると、雑とは言えミステリー度の得点は高い。だが、ミステリーとしては様々なものが提示されるのが、あまりにも安易な結末で驚いたのも事実。また、提示された伏線がやや乱暴に回収されるのあたりが多少マイナスか。

舞台は、イギリス南部のブライトンの西のショアハム=バイ=シー。2015年に行ったブライトンのことを思い出しながら読んでいた。

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