Lemon 8がアメリカでローンチ

by Shogo

TikTokはアメリカで、米中対立の争点の一つとなっており、親会社のByteDanceのCEOがアメリカ下院の委員会に呼ばれて何時間もインタビューされた。現時点では、TikTokのアメリカ企業への売却か、そうでなければ禁止かを迫られている。このような状況に対応するためにか、もともとの計画なのか、アメリカではまだ展開していなかった。Lemon8をアメリカでプロモーションすることを計画しているようだ。

ByteDanceは、TikTokの主要なクリエイターに対して、Lemon 8の立ち上げクリエイターとして招待するメッセージを送ったことが明らかになった。このメッセージにいれば、Lemon 8はTikTokの成功を支えたリコメンデーション・エンジンを使用しており、当初は、ファッション、健康食品、ウェルネスと言うトピックスを中心に展開するという。

ByteDanceが、マーケティング会社に行ったプレゼンテーションによれば、Lemon 8の理想のクリエイター像は、ニューヨークやロサンゼルスなどの大都市に住む22歳から26歳の女性で、ファッションや美容に興味がある人だそうだ。立ち上げのクリエイターに選ばれると、金額は非公開だが、報酬が与えられることが明らかになっている。

すでにアメリカでも、Lemon 8のアプリはダウンロード可能になっており、ByteDanceは5月より米国を含めたグローバルでのLemon 8のプロモーションを計画していると言う。

日本では、Lemon 8に名前が変更になる前のサービスの「Sharee(シェアリー)」が、2020年3月にローンチされている。Shareeは、Pinterest と Instagramを合わせたようなイメージを持ち、TikTokのように動画が中心ではなく、むしろ写真やテキストが中心となっている。当初から、広告主を獲得するためのショッピングの機能を中心に考えているように見える。

Shareeは2020年3月のローンチ後すぐの、 2021年9月になってLemon 8と名称が変更された。Lemon 8と聞くと、トニー・ベネットの「Cloud 7」を思い出すような老人は、お呼びではないが、Lemon 8という名前は、そのアルバムを思い出させる。

先日、友人と食事をした際に、その友人が、ByteDanceの子会社に転職したことを聞いた。その会社は、MetaのオキュラスのようなVRの会社で、しばらく前にByteDanceが買収したそうだ。

ByteDanceも、他の巨大IT企業がそうであるように、その巨額の収益で、事業多角化のための別領域の会社の買収を行っているようだ。しかも、VRは、現在のTikTokなどのSNSのプラットホームが機能を拡張してVR化することを見越している事と思われる。儲かっている会社は、様々な打ち手が可能だと改めて思う。

今回のアメリカにおけるLemon 8のローンチも、多角化・事業拡大の一環であり、アメリカでの売却か禁止のリスクだけではないと思われる。Lemon 8のアメリカでのローンチも、しばらく前から準備をしてきたのだろう。たまたまそれがワシントンでのヒアリングに重なっているだけのことなのかもしれない。

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