試着AI、Doppl

by Shogo

Googleが、Dopplという試着アプリをGoogle Labsからリリースした。このアプリは、ユーザーがバーチャルで服を試着できるだけでなく、その服を着たまま動いている自分の姿を動画で見ることができる。Dopplは、Google Shoppingが5月に発表したAI Modeバーチャル試着機能をさらに発展させたものだそうだ。静止画をAI生成動画に変換する能力が加わり、ユーザーは「服がどんな感じにフィットするか、より一層実感できる」とGoogleの公式ブログで説明されている。

ユーザーは自分の全身写真と、試着したいアイテムの写真やスクリーンショットをアップロードするだけで、これらの画像や動画を生成できる。ネットで見つけた服、古着屋で見つけたアイテム、SNSで気になったコーディネートなど、どんな服でもDopplにアップロードすれば、それが自分にどう似合うか見ることができる。生成されたお気に入りのコーディネイトは、保存したり、友人やフォロワーと共有したりすることも可能だ。

このAIは深層学習アルゴリズムを用いて、ユーザーの体型や肌の色に基づいてスタイルを提案できる。さらに、服の物理的な特性や人体との着用状況を理解し、素材の物理特性(綿、シルク、ウール、合成繊維など)がどのように体に馴染むか、どのように折り畳まれ、シワが寄るかまで認識する高度な技術を搭載しているそうだ。本当なら、そんなことまで可能かというレベルだ。Doppl、恐るべし。

Dopplの特徴は、静止画像をAI生成動画に変換する機能だ。これにより、ユーザーは服を着た状態で動いている様子を確認でき、服がどのように体の上で見えるかを見せることができる。これは、他にもある動画生成の機能で珍しいものはない。珍しいのは、その機能をファッションに特化してアプリにしたことだ。

そんな市場が、これまであったのか知らなかったが、バーチャル試着市場は驚異的な成長を続けており、2024年には68億5000万米ドルに達し、2029年には年平均成長率19.84%で169億4000万米ドルに達すると予測されている。別の調査によると、2030年までに464億2000万米ドルに達し、年平均成長率26.4%を記録するとの予測もある。

現状では、Amazonは従来の「Try Before You Buy」サービスを段階的に廃止し、AIの進化によるバーチャル試着技術への移行を進めているそうだ。また、メガネブランド「Zoff」は、Amazon店でのバーチャル試着機能を導入し、AR技術を活用した試着を提供しているようだ。

また、Walmartは「Be Your Own Model」というバーチャル試着サービスを展開し、機械学習モデルを用いたシミュレーションにより、27万点を超えるアパレルをアプリ上で試着できるサービスを提供している。これらが、Dopplと同程度の見え方なのかは、記事を読んだだけではわからなかった。

このようなAI技術の適用が進むと、様々なパーソナライゼーションが進化してゆくだろう。バーチャル試着技術は、単純な画像重ね合わせから、個人の体型、肌の色、過去の購入履歴を考慮したパーソナライズされた体験へと進化する。AIは閲覧履歴、購入行動、スタイルの好みなどのユーザーデータを分析し、カスタマイズされた組み合わせも推奨するだろう。

今後は、バーチャル試着技術は、アパレルだけでなく美容、アイウェア、宝飾品、インテリアなど様々な分野で採用されてゆくことは確実だ。この技術により、消費者はより多くの商品カテゴリーで購入前の体験が可能になり、オンラインショッピングの利便性が大幅に向上する。結果的には返品率も下がるだろう。

AIによるコーディネイトや推奨には、AI側で学習が必要だ。ファッション雑誌などをデータとして使うようなライセンス契約やファッションに詳しい人材による強化学習も必要と思われるが、すでにGoogleは、そのような対策を始めているのだろうか。

You may also like

Leave a Comment

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください

error: Content is protected !!