電通が発表している日本の広告費の2022年の推計値は、1947年に開始されて以来の過去最高となった。7兆1021億円となり、前年比104.4%でコロナ禍の落ち込みから回復したようだ。
インターネット広告費は、前年比114.3%の3,兆912億円に達し、日本の広告費全体の43.5%を占めている。中でも成長が著しいのが検索連動型広告だ。推計値は9766 億円と前年比122.2% と大きく成長した。その結果、インターネット広告費全体に占める構成比は39.4%である。
検索連動型広告は、インターネット上の検索エンジン結果に表示される広告のことだ。この広告は、特定のキーワードを検索すると表示され、ユーザーの検索意図に合わせて、そのキーワードに入札している広告主の広告が表示される。その時点で、そのキーワードに関連する商品やサービスに関心を持っていることが推定できるので広告効果が高く、刈取り型の広告と言われている。
この検索連動型広告の市場は、Googleがほぼ独占的に支配している。それは、Googleがデファクトの検索エンジンで、検索の90%以上のシェアを持っているからだ。
しかし、ChatGPTの登場で、今後AIによって検索行動が大きく変わる可能性がある。MicrosoftはChatGPTの機能を組み込んだブラウザのBingに広告を入れることを今週発表した。これにより、Googleの独占が崩れる可能性があるが、検索連動型広告の市場はどう動くのだろうか。
世界の広告費は、国別で見ると、アメリカ、中国、日本、イギリス、ドイツが上位に来る。しかし、国別の検索連動型広告の市場規模では、アメリカ、中国、イギリス、日本、ドイツとなり、日本はイギリスに次いで4位だ。イギリスでは広告費全体に占める割合の中で、検索連動型広告が高いようだ。これは歴史的にイギリスのテレビ広告市場が小さいことが原因と思われる。
検索連動型広告の市場規模では、アメリカが1,165億ドル、中国は530億ドル、イギリスが163億ドル、日本が92億ドル、ドイツが73億ドルだ。電通が発表している数字との違いは、推定の方法によると思われる。この数字をみると日本でも検索連動型広告はもっと伸びる可能性があると言うことだろう。
この統計では、モバイルとそれ以外の検索連動型広告を分けて報告されており、アメリカではモバイルの比率は58%。中国では68%、イギリスでは36%、日本は35%。ドイツでは36%となっている。アメリカと中国は検索連動型広告の中でモバイル比率が圧倒的に高い。特に中国では7割近く、モバイル化が進んでいることが窺われる。
AIが検索をどのように変え、その結果、広告市場がどう変わるのか。あるいは変わらないのかGoogleもBardというAIチャットボットを本格的に導入するので、2023年、2024年の広告費の発表の際に変化があればわかる。