Luther: The Fallen Sun

by Shogo

久しぶりにNetflixを開けてみると、刑事ジョン・ルーサーがNetflixオリジナルで帰ってきていた。

このところDisney+でStar Wars関係ばかりを見ていたので、Netflixを開けることもなかった。しかし、ホーム画面に、新作の「Luther: The Fallen Sun」が表示されたので嬉しかった。新作を待ち望んでいたからだ。

まず残念だったのは、それがテレビシリーズではなく、単発の映画であったことだ。「Luther: The Fallen Sun」は、2時間9分の映画だ。テレビシリーズと違って、映画は2時間程度で終わらせるためには、単純な展開が必要である。そのために「Luther: The Fallen Sun」は、非常に退屈なプロットのなっており、失望させられた。

また、短い時間で展開させるために、敵役のシリアルキラーの人物造形が手抜きで動機も弱く、説得力がまるでない。

さらに、映画になったためか、ハリウッド映画のように不必要とも思われる過剰な演出や不要な場面の設定が多く見られる。ルーサーの収監と脱獄やPiccadilly Circusでの事件、犯人の要塞での対決など、全く意味のない要素が、演出上の必要性のためか付け加えられている。特にプロット上では、脱獄やノルウェーでの要塞の対決など、全く意味のないものだ。

今までの刑事ジョン・ルーサーのシリーズを見てきて、プロットや登場人物が魅力的だったことが、このテレビシリーズを人気のあるものにしてきた。主役のルーサーを含め、敵役であり協力者でもあるアリス、同僚のリプレー、前妻の人物設定や描写がストーリーに深みを与えていた。しかし、今回の「Luther: The Fallen Sun」では、そのような要素は全くと言ってない。多分それは、テレビシリーズと映画の違いなのだろう。細かいところ時間をかけて描写をするような尺がない。

テレビシリーズから映画になったために、事件の周辺を描く時間がなく、その代わりに、お金をかけた演出をしなければ映画にならないというような発想で、不要な場面が多く、ストーリーにひねりもなく、登場人物も薄っぺらで残念な結果になった。

今まで見てきたジョン・ルーサーの魅力は、生活や内面の混乱にもかかわらず、自己犠牲的に正義を貫こうとする、その姿勢であった。そして、ルーサーを取り巻く登場人物が魅力的で説得力があった。これらの登場人物が、ストーリーをさらに緊張させるものにしていた。

それでも、イドリス・エルバが演じるルーサーは、今までのシリーズのルーサーと同じように説得力があり、ルーサーと言う人物が持つ複雑さと正義を貫く決意を十分に感じさせるものがある。プラス・マイナスでは、マイナスの方が大きいが、それでも、久しぶりにイドリス・エルバが演じるルーサーを見て良かった。「Luther: The Fallen Sun」の裏側に、今までのシリーズをみていたからだろう。

しかしながら、ラストで、To be continuedと表示されないまでも、次につながる場面が用意されていたことから、製作者は今後もこのシリーズを続けるということが見てとれるので、期待できる。次はもう少し頑張ってもらいたいものだ。

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