先週金曜日にイーロン・マスクは、認証されている投稿者のコンテンツの下に表示される広告について、その投稿者をに広告収入一部を還元すると発表した。このプログラムは数週間以内に開始され、最初の支払いの総額は500万ドル程度になると言う。
この発表では、広告収入のどの程度が還元されるのか公表されていない。しかも広告が配信されるTwitterユーザも認証されていなければ、この広告収入の分配の対象にならないと言う厳しい条件がついている。
この投稿者に広告費を還元する仕組みは、他の多くのソーシャルメディアが実施している。古くはYouTubeが動画の投稿者に広告収入の還元を始めた。YouTubeの場合は広告収入の55%が投稿者に還元される。この仕組みは、他のプラットフォームも採用し、Instagram は2020年に、動画共有サービスのIGTVで投稿者に広告収入の55%還元を始めた。。TikTokも2022年から広告収入が還元されるプログラム、Pulseを開始した。TikTokの場合には、分配率は50%である。どのプラットフォームの狙いも、優良な投稿者を集め、人気のコンテンツの増加によってトラフィックが増えて広告収入全体の拡大だ。
Twitterユーザーの多くは、今まで収益は考えずに投稿してきた。中には優れたコンテンツを発信している人も多い。このようなユーザーは、他のビジネスのプロモーション用として考えてきたと思われる。広告収入のの還元が始まると、今後は新しい使い方が登場するかもしれない。
Twitterでも収益化の道が可能になることで、優れた内容のコンテンツの投稿が増えることをイーロンマスクを期待しているのだろう。
もう一つの狙いは、広告費還元の対象になる広告の表示されるアカウントも、認証されていなければいけないために、投稿者の力を使って認証アカウントを増やすことも意図しているのかもしれない。
広告収入の減少に苦しむTwitterは、いくつかの特典のついた有料のTwitter Blueで、、課金モデルも取り入れて取り入れた。広告だけのビジネスモデルからの脱却である。その課金モデルであるTwitter Blue契約者は、自分の投稿を有料で配信できるサブスクリプションのビジネスを行うことも認めている。
これはこれまでのビジネスモデルの中心であった広告収入の大幅な落ち込みに対応する動きである。アメリカ国内の広告売り上げは前年比59%まで落ち込み、経営的にはかなり苦しい状況にある。フィデリティー証券は、イーロン・マスクが買収したときのTwitterの企業価値440億ドルは、今や3分の1まで低下していると見込んでいるそうだ。お金持ちのイーロン・マスクにとっては、はした金かもしれないないが、1年で300億ドルの損失を被ると言うのは普通の人であれば考えられない。
今回の広告収益シェアモデルは、他のソーシャルメディアプラットフォームで成功している。Twitterでも、良いコンテンツが増え、効果を発揮するのかどうか。また、それによって認証された有料のアカウントが増えるのか。元NBCユニバーサルの広告担当役員のリンダ・ヤッカリーノがCEOに就任して、今後広告主との関係修復や新たな広告ビジネスを開始するのと思われる。それがTwitterの企業価値の回復につながるかどうか。まだまだTwitterの先の見えない不安定な状況が続きそうだ。
