1998年9月4日にスタンフォード大学の学生、ラリー・ペイジとセルゲイ・ブリンはGoogleと言う会社を設立した。その中心の事業は、インターネットの検索エンジンで、ページランクと呼ばれる、引用される回数が多いウェブサイトを重要と位置づけるアイディアが中心になっていた。
1998年には、すでにインターネットは日常生活に普及し、ウェブサイトの数は爆発的に増えていた。Googleのロボット検索は、先行する数多くのロボット検索サービスに対して後発で参入した。しかし、ページランクによる順位付けは、インターネットにおける強力なツールとなり、検索サービス市場において、圧倒的な地位を築く。
当初はマネタイズの方法がなかったが、2000年に検索エンジンに広告掲載するGoogle Ad Words(現Google広告)を開始し、世界中で行われる検索を広告でビジネス化してゆく。
その後、様々なサービスをGoogleは追加していった。特に2004年のGmail、2006年のYouTubeの買収、2008年のAndroidのリリースはインターネットの中心となるようなサービスとなった。その過程では、検索連動型広告から上がる収益をもとに、Gmailのような無料のサービスを次々と発表したために、それまで、その事業を有料で行っていた企業が消えていく。
2022年の世界の検索広告収入は2520億ドルに達しており、これは今後も上昇することが見込まれている。その市場において、Googleは2022年には58%のシェアを持っていると推定されている。2位は中国の百度の15%、Amazonが14%、 MicrosoftのBing が6%となっている。
3位のAmazonは、一般的な検索ではなく、Amazonの物販プラットフォーム上で行われる検索に対して広告が表示されることが、統計上、検索広告として取り扱われているからだ。その意味では、一般的な検索としては、Google、百度、 Bingの順となる。百度は人口の多い中国で使われているためにシェアは高いが、広がりに限界がある。その意味で、Googleの唯一の競争相手は、Bingの6%しかない。
このように、独占に近いGoogleの検索ではあるが、2023年におけるAIツールの普及は Googleの独占を揺るがせるかもしれないと言う見方もある。ただ現実的にはBingのシェアはChatGPTを搭載した後でも、わずかに上昇しただけで、現時点においては大きな変化は出ていない。しかしこれは現時点と言うことで、ChatGPTの開発会社のOpenAIとMicrosoftはBingのサービスを行っているMicrosoftと密接に協力をしているため、MicrosoftのOfficeのビジネスツールを使用する際に検索にBingが組み込まれるため、今後のBingの成長も完全には否定できない。
25年前に誕生したGoogleは、今やApple、Microsoft、Saudi Aramcoに続く世界最大の株式公開企業の1つであり、その時価総額は2兆ドルを超えている。そのGoogleの企業の評価の中心は、YouTubeなどの他のサービス等もあるが、やはり検索サービスである。これが脅かされるようなことがあると、現時点の市場価値の大きな部分が失われる可能性がある。AIツールの普及は2023年に始まったばかりで今後どうなるかは誰にもわからない。
だが、人間は惰性で生きている。なかなか習慣を変えられない。だから、検索をする際には、すぐGoogleを使ってしまう。もちろんBingを通じてChatGPTを使うことができることは知っているが、そのようにはならない。だから、当面、Googleは安泰だろう。