NVIDIAの名前を聞くことが増えてきた。昔から知っている名前だが、ゲーム用のグラフィックボードの会社というイメージしかなかった。だが、最近ではAIのディープラーニング用に使われるGPUをほぼ独占したAI産業の中心的な企業になっているようだ。
2024年第1四半期、Nvidiaは前年同期比262%増となる260億ドルという収益を記録している。この成長は、主にAI産業のGPU需要の増加と、多角化されたビジネスモデルによるものだそうだ。AI用のGPUだけでなく、電気自動車、ロボティクス、暗号通貨のマイニング向けの半導体チップの急速な需要増により、その時価総額は6月にAppleやMicrosoftを抜いて1位になり、7月時点では首位ではないものの3兆ドルを超えている。
調べてみると、NVIDIAは深層学習(ディープラーニング)用のGPUだけでなく、多岐にわたる収益源によって支えられている。主な収益源は以下の通り。
- ゲーミング NvidiaのGeForce GPUはゲーマーの間で絶大な人気を誇り、大きな収益をもたらしている。
- データセンター 大規模データ処理や複雑な計算に不可欠なデータセンター向けに、GPUとAIソリューションを提供。
- プロフェッショナルビジュアライゼーション メディア、エンターテインメント、建築、デザインなど、様々な分野のプロフェッショナル向けにハイエンドなグラフィックソリューションを提供。
- 自動車・ロボティクス 自動車業界向けにAIや自動運転技術を開発。
- OEM・IP Nvidiaの知的財産ライセンスや、相手先ブランド名製造(OEM)との提携が含まれる。
幅広い分野にビジネスを展開しているが、NVIDIAの躍進を支えているのは、やはりGPUである。NVIDIAは、以前よりゲーム用グラフィックスの分野で高いシェアを持っていた。そのGPUが機械学習の処理に適していることが明らかになると、データセンター向けの需要が爆発的に拡大。AI向けGPU市場で95%のシェアを握るということになったらしい
そして、OpenAIの「ChatGPT」に代表される生成AIのブームだ。大規模言語モデル(LLM)の学習には膨大な演算能力が必要で、NVIDIAのGPUが欠かせないという。MicrosoftやGoogle、Amazon Web Service(AWS)など、IT大手は自社のAIインフラ強化にしのぎを削っており、NVIDIAのGPUの需要は当面衰えなさそうだ。
いまだにゲーム用のGPUが、なぜ深層学習にも使えるのかが理解できない。元々グラフィック処理のために設計された演算装置に過ぎない。調べてみると理解はできないが、いくつかの説明は見つかる。
まず並列処理能力の高さだそうだ。深層学習は、大量のデータを同時に処理する必要があるが、GPUは多数のコア(演算処理装置)を搭載しており、CPUに比べてはるかに多くの計算を同時に行うことができるという。この並列処理能力の高さが、深層学習の計算を高速化し、学習時間を大幅に短縮するらしい。
まず、ここで「深層学習は、大量のデータを同時に処理する必要がある」でつまずいてしまう。なぜ深層学習には並列処理が必要なのだろうか。この疑問は今後の課題として次に進む。
そして、GPUの行列演算の得意さだそうだ。深層学習の中核をなすのは、行列演算だという。GPUは、元々3Dグラフィックスのレンダリングで必要とされる行列演算を得意としており、この能力が深層学習の計算に最適化されているそうだ。またしても、この「行列演算」の意味がわからない。
そして、NVIDIAの説明によれば、深層学習フレームワークのサポートだそうだ。TensorFlowやPyTorchといった主要な深層学習フレームワークは、GPUの並列処理能力を最大限に活用できるように設計されている。これにより、開発者はGPUの性能を容易に引き出すことができ、効率的な深層学習モデルの開発が可能になるという。「TensorFlowやPyTorch」はチンプンカンプンなのでお手上げだ。ともかく、これらの理由から、GPUは深層学習に欠かせない存在となり、AI研究や開発の現場で広く利用されているという今の状況になっているようだ。
さらに、読んだ記事によれば、NVIDIAは、AI分野で圧倒的な存在感を示している。GPU以外にも、組み込み演算プラットフォーム「Jetson」やソフトウェア開発環境「CUDA」「TensorRT」など、AIシステムの開発に必要なハードウェアとソフトウェアを幅広く提供。
それだけではない。AI以外の分野でも積極的に投資を行っているようだ。自動運転では、「DRIVE」プラットフォームを開発。BYDやXPENGなど、世界的なEVメーカーが同プラットフォームを採用している。また、量子コンピューティングやHPC(ハイパフォーマンスコンピューティング)の分野でも、並列処理技術を生かして存在感を高めている。EVや量子コンピューティングまで登場だ。
株式アナリストの分析を読むと、時価総額で一時は世界1位となったが、課題がないわけではないようだ。米中対立の影響で、中国への輸出規制が強化されており、業績への影響は避けられない見通しのようだ。また、IntelやAMDなど、ライバル企業もAI分野への参入を強化しており、競争は激化しているという。
とはいえ、NVIDIAの優位性は揺るがないとの見方が強いと分析されている。AIの基盤となるGPUで圧倒的なシェアを誇り、ソフトウェアやエコシステムの面でも、他社に簡単には置き換えられない。多くのAI開発企業はNVIDIAのGPUとソフトウエアを前提としてシステムを構築しており、これを変更するのはシステムをすべて書き換える必要があるそうだ。株は買わないが、NVIDIAは当面は安泰のようだ。