イーロン・マスクのX(旧Twitter)は、xAIのGrokをSNSサービスに統合しようとしていると報道された。XはGrokを活用する新機能を開発中だそうだ。
報道によると、Grokが画面の右側にポップアップ表示される形式で利用できるようになる。これは、他のアプリ内でAIチャットボットをサイドバーに配置する方法に似ている。この配置により、ユーザーは投稿やタイムラインを閲覧しながら新しい情報についてGrokに質問することが容易になる。GrokがXを進化させる3つの新機能は以下の通り。
ポップアップウィンドウでのGrok利用
DMを確認するのと同じような感覚で、Grokとの会話をポップアップウィンドウで利用できるようになる。GoogleやMicrosoftのアプリのように、Grokが常に手の届く場所に存在するので、投稿中やタイムライン閲覧中など、さまざまな状況でGrokとの対話がスムーズに行える。
Xアカウント調査
Grokを使ってXのアカウント情報を調べられるようになる。この調査で、どのような情報が表示されるかはまだ不明だが、Grokが情報を集約するので、そのアカウントについて深い分析ができる。
投稿内テキストのGrok検索
投稿内の特定の単語やフレーズを選択し、「Grokに質問」ボタンをクリックするだけで、Grokが関連情報を検索してくれる。X上のニュースや情報についてより深く掘り下げたい時に役立つ機能だ。これは、意外と便利かもしれない。
Xは昨年、プレミアムプラスプランの有料サブスクリプションを強化するために、Grokをアプリに追加した。しかし、OpenAIのChatGPTやGoogleのGeminiなどの生成AIチャットボットサービスが乱立しているので、Grokの認知度は低く利用者も増えていないようだ。有料サブスクリプションの目玉にしたのに機能していないということだろう。競合他社との競争が激化する中、Xは今年3月に、中位のプレミアムプランにもGrokの利用を拡大した。それにもかかわ年5月時点でXのアプリ内購入収益は減少傾向にあるそうだ。
この収益減少は、Xのクリエイターが収入を得るために頻繁に投稿することが奨励されているため、内容が薄い投稿が増えていることや、プレミアムサブスクリプションの価格がユーザーを遠ざけている可能性があると指摘されている。また、Xは、同樣のサービスのInstagramのThreads、Mastodon、Blueskyなどの新規参入競合アプリとも競争していることも影響しているだろう。
そもそも、Xの名称変更やイーロン・マスクの度重なる規則変更もXの凋落に影響しているだろう。いずれにせよ、Appfiguresによると、XのApp Storeでのダウンロード数は前年の440万から今年の300万に減少した。
一方、マスク氏はGrokのソースコードをオープンソース化すると発表している。ライバルのOpenAIを牽制する狙いがあるようだが、実際の影響については疑問視する声もあるようだ。すでにMetaの公開したオープンソース化されたLLMもある中で、ユニークな回答をするというGrokを、一般的なAIチャットボットとして採用することは考え難い。
今回のGrokのXへの統合は、Xの没落に歯止めをかけ、プラットフォームの復活の後押しをするのだろうか。それとも、焼け石に水に終わるのだろうか。Xに残された時間はあまりないように感じている。