Google「AI Overviews」

by Shogo

Googleが、検索エンジンにおけるAI生成検索結果「AI Overviews」のアップデートを発表した。この新機能は、Googleが以前から提供していた「Search Generative Experience (SGE)」を発展させたものであり、ユーザーが検索クエリを入力すると、AIが生成した回答が表示されるというものだ。現時点では、日本では日本語表示では現れないが、英語での表示にすると検索の上部に「AI Overviews」が現れる。

ユーザーがGoogle検索に入力したクエリに対してAIが生成した回答を、検索結果ページの上部に専用ウィンドウで表示する。この機能は、従来の検索結果ページに掲載される通常のリンクに加え、対話形式でユーザーのクエリに関連する情報を提供する。ただし、全ての検索クエリに対してAI Overviewsが表示されるわけではなく、特定の条件下でのみ表示される点が特徴だそうだ。これは、多少ややこしい。

たとえば、2024年7月にSEOツール「Advanced Web Ranking」によって行われた調査によれば、テストされた8,000もの検索ワードの約12%にしかAI Overviewsが表示されなかったようだ。特に「how」(どうやって)を含むクエリや、5つの単語からなるクエリに対しては、AIが生成した検索結果が頻繁に表示される傾向が見られたという。これらの結果は、AI Overviewsがユーザーの検索意図に基づいて、特定の条件下で有用な情報を提供すること意味する。

Googleは、2024年8月にAI Overviewsをより多くのユーザーに提供するためのアップデートを行ったそうだ。8月15日に公開されたGoogleの公式ブログ記事では、AI Overviewsの利用可能な国や地域が拡大され、近日中に日本を含む複数の国で利用可能になる予定だという。これは、日本では9月に入っても、まだ実現されていない。また、ログインしていないユーザーやシークレットモードのユーザーにもAI Overviewsが表示されることが確認されており、今後さらに多くのユーザーがこの機能を利用できるようになるという。

さらに、GoogleはAI Overviewsの信頼性を高めるために、AIが生成したコンテンツにソースへのリンクを付加する機能を導入した。これは、AIが生成するコンテンツの信頼性に対する懸念を解消する一助となる。Perplexityと同じだが、この機能があることで情報を安心して使うことができる。

また、AIが生成した回答を後で参照できる保存機能や、ユーザーがトピックに十分に精通していない場合に、より分かりやすい言葉使いで回答を表示するオプションも追加されているようだ。これは、馴染みのない専門領域について調べ物をする際に重宝しそうだ。

AI Overviewsの導入により、検索結果の上位にAIが生成したコンテンツが表示されることから、広告主やマーケターにとって大きな影響が予想される。例えば、Advanced Web Rankingの調査では、AI Overviewsが表示された検索結果ページにおいて、広告が上位に掲載されたケースはわずか8.7%であり、ページ下位の掲載は19.5%にとどまっている。この結果からも、AI生成結果が広告の掲載位置やクリック率に影響を与える可能性があることが分かる。

さらに、検索結果がより対話型になることで、検索連動型広告が大きく変わることが予想される。AIが生成した検索結果に対して広告をどのように掲載するか、ターゲティングやコピーライティングの手法をどのように適応させるかといった課題が浮上する。また、広告主はAI Overviewsが表示されるクエリに対して、オプトアウトのオプションを要求することも出てくるかもしれない。。

一方で、生成AIによる検索結果が広告に与える影響については、現時点でのデータから見る限り、それほど深刻な影響は見られていない。市場調査会社eMarketerの調査によると、米国の広告主がGoogleへの投資を続けており、検索エンジンに割りてられる広告費の約70%がGoogleに向けられている。

また、AdExchangerの報告によれば、Gartnerの調査を基に、一部のwebメディアはGoogleのAI Overviews導入によって、約25%のトラフィック損失の可能性があると懸念している。しかしながら、現時点では大きなトラフィック減少は確認されておらず、これからの動向を注視すべきだろう。

GoogleのAI Overviewsは、検索エンジンの未来を方向付ける重要な技術となり得る。だが、現時点での影響は限定的であり、まだ実験段階にあると言える。Googleは引き続き、AI Overviewsを拡大しながら、ユーザーからのフィードバックを基に最適化を進めていくと考えられる。

一方で、AIが生成したコンテンツと広告との関係や、webメディアに与える影響については、さらなる調査と検討が必要だ。AI Overviewsが検索結果に与える影響を注視し、マーケティング戦略を柔軟に適応させることが求められる。

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