Amazon Prime Videoの広告事業

by Shogo

Amazonは、2025年からPrime Videoのテレビ番組や映画に広告を増やす計画を進めていると報道された。これは、ストリーミングサービスにおける新たな収益モデルの確立を目指したもので、広告業界におけるAmazonの影響力をさらに強化するものとなるかもしれない。

Amazonは、2023年にPrime Videoで「限定的な広告」を導入した。この動きは、ストリーミング業界において、広告が収益の重要な柱となりつつあることを示している。競合のNetflixも同様に、広告付きプランを展開しており、業界全体でのトレンドとなっている。

Prime Videoの広告付きプランは、視聴体験を損なわないように、広告量を限定して始められている。広告に対して否定的な意見もあるものの、広告付きプランに移行した顧客のうち、20%未満しか広告なしプランへのアップグレードを選択していないそうだ。このことから、視聴者の多くが広告を容認しているか、少なくとも大きな問題とは感じていないということになる。

Amazonの広告事業は成長を続けており、Prime Videoも、その一翼だ。2023年9月期には、広告事業が18億ドル以上の収益を上げ、予想を上回る結果を記録した。この収益には、NFLの「Thursday Night Football」を含むライブスポーツの放送における広告収入も含まれている。さらに、2024年の米国大統領選挙に向けたニュースのライブストリーミングや音楽イベントにも広告が追加される予定だという。

実際に、Amazonは、今や広告メディア会社として、GoogleとMetaに続き、第3位の規模まで成長し、その成長は続いている。広告収益の増加は、Amazonにとって非常に重要な意味を持つ。同社は小売業を中心としたビジネスモデルを展開してきたが、現在では、クラウドサービスのAWSと広告ビジネスが新たな成長エンジンとなっている。Amazonは広告ビジネスを加速させるため、2025年から多くの広告枠を提供する計画を進めているということだろう。

インタラクティブ広告と「ショッピング可能な」広告の導入

2025年には、Prime Videoにインタラクティブ広告や「ショッピング可能な」広告フォーマットが導入される予定だという。視聴者は、視聴中の番組から直接商品をカートに追加したり、ブランドの詳細を確認したりできるようになる。これにより、AmazonはEコマースの強みを広告と統合し、映画・テレビ視聴体験をさらにパーソナライズされたものに変えることを目指している。これは、過去に何度も言われてきたことだが、現時点までは有効な形で実現していないから、これができれば広告も変わるだろう。

このようなインタラクティブ広告は、視聴者にとって便利なだけでなく、広告主にとっても魅力的だ。従来の広告では、視聴者が広告を見てから実際に購入するまでの間に複数のステップが必要だったが、インタラクティブ広告ではそのプロセスが短縮され、即時に購買行動を促進することができる。

他のストリーミングサービスとの比較

広告付きストリーミングプランは、今や主流となりつつある。Netflix、Disney+、Paramount+などの競合サービスも、低価格で広告を含むプランを提供している。しかし、Prime Videoの広告戦略には独自のアプローチがあるようだ。Amazonは「従来のテレビや他のストリーミングサービスよりも広告の頻度を少なくする」と述べている。

Preme Videoでは1時間あたりの広告時間が1分30秒程度と、当初の予定であった2〜3分30秒を下回っているという。従来のテレビ番組では1時間あたり4回以上のCMブレイクがあり、10分程度あることに比べるとはるかに少ない。Preme Videoでは現在、1話につき3回ブレイクがあり、各ブレイクで1〜3本の広告を流すのみという。

他のストリーミングサービスは徐々に広告量を増やしているのに対し、Preme Videoは低い広告量を維持している

それにもかかわらず、一部のユーザーからは、広告が視聴体験を損なっているとの声ある様だ。Redditなどのコミュニティでは、視聴者が広告を避けるために、番組をダウンロードしてオフラインで視聴することを選ぶという投稿もあるそうだ。

AmazonのPrime Videoにおける広告増加は、広告事業の成長に寄与する重要なステップだ。広告収益は、Amazonにとって新たな収益源であり、Eコマースとの相乗効果を高めるための重要な要素となっている。一方で、視聴者にとっては広告が煩わしいと感じるケースもあるため、今後はそのバランスをどのように取っていくかがチャレンジだろう。

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