ChatGPTは、Everythingアプリを目指しているか

by Shogo

ChatGPTは、Everythingアプリを目指しているかと追う記事を読んだ。記事の結論はOpenAI(ChatGPT)は、Everythingアプリに近づいているが、WeChatのように自前で全機能を抱え込む形ではなく、会話で外部サービスを束ねて用事を最短で片付けるAIプラットフォーム(AI OS)として実現していく」ということだった。​

Everythingアプリとは何か

伝統的なEverythingアプリは、メッセージ、決済、買い物、予約、配車などを1つのアプリで完結させるスーパーアプリのことを指す。 中国のWeChatが代表例で、アプリ内に小さなアプリ(ミニプログラム)を抱え込み、決済やIDも自前で運用するのが特徴だ。​イーロン・マスクもXをEverythingアプリにすると言っている。

ChatGPTのアプローチは「つなぐ」

ChatGPTは同じゴールを、別のやり方で目指しているという。 自前で全部持つのではなく、Spotify、Zillow、Canva、Booking.com、Coursera、Figmaなど外部アプリを会話から直接呼び出して使う仕組みを整え、操作をAIが仲介するという。 だから、ユーザーはアプリを行き来せず「会話=操作」で目的達成できることになる。​

具体的に何ができる?

  • 音楽なら「パーティー用にアップテンポで90分のプレイリスト作って」と話すと、Spotify連携でプレイリストがその場で生成・再生される。​
  • デザインなら「A3縦でイベントポスター、写真は左、強い見出しを赤で」と言えば、Canvaがチャット内でレイアウト案を出し、会話で修正できる。​
  • 旅行なら「週末に東京→札幌、安い直行便と2泊のホテル」を頼むと、Expedia/Booking.comが候補を出し、絞り込みや予約作業まで会話内で進む。​
  • 学習なら「このCoursera講座を3日で要点整理、重要スライドは和訳して小テストも」と指示し、視聴と要約・テスト生成を1画面で回す。​

これなら、ユーザーが意識するのはChatGPTだけで、その向こうで何が動くかは関係なく、目的を達成できるから、ユーザーから見たらChatGPTがスーパーアプリに見える。

ビジネス構造

決済はStripeと共に「Agentic Commerce Protocol(ACP)」という標準で実装方針が示され、チャット内で今すぐ買うを安全に行えるように設計されるようだ。 重要なのは、販売側が決済の記録主体のままなので、OpenAIが決済事業者の規制負担を直接背負わず、会話の中に買い物を仲介して、会話の中に溶け込ましていることだ。​

WeChat型との違い

  • WeChat:自前で決済もIDも持ち、巨大な城壁の中で全部提供する大きな1つ。​
  • ChatGPT:外部サービスをつなぎ、会話で最短ルートに導く賢い接着剤。

前者は機能を内に抱え込み、後者は外を束ねて、Everythingを実現する。どちらも一つの窓で完結だが、構造が違う。だが、先述したように、ユーザー​からは同じに見える。

課題

  • 規制とプライバシー:EU AI法などへの対応やデータ透明性の確保が重い。​
  • 金融・医療などは誤りコストが極大で、安全策と監査性の確立が前提。​

Everythingアプリ開発者側は会話設計や文脈管理まで理解が必要で、WeChatの低コード大量普及とは違い、規制や安全性対策で質を重視しなければならない。​

このため、全部を自前で抱える、伝統的なスーパーアプリ概念ではなく、既存サービスを跨いで最短で仕事を片付けるAI OSという形で普及がするだろうということだ。​このAI OSを既存のデバイスや、ジョニー・アイブと開発している自前のハードウエアで動かすのだろう。

Everythingアプリ体験はChatGPTとの会話の中で着実に実現しつつあるが、方式は自前で、すべての機能を抱えるアプリではなく外部を束ねる交通整理役になるだろうというのが記事の見立てだ。だが、これが実現すれば、生活や仕事の用事はアプリを探す時代からChatGPTと話して終える時代へ移り、中心に座るのがChatGPTになるかもしれない。これが、便利な未来か悪夢の始まりか、まだわからない。

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