Netflixのコンテンツ制作

by Shogo

あらゆる分野で、プロセスやアウトプットとテクノロジーの融合がかつてないスピードで進む中、Netflixが、「生成AIをストリーミングと制作の全工程に統合する」と発表した。テッド・サランドスCEOは「我々はAIを単なるコスト削減のためではなく、物語をより良く、より速く、そして新しい方法で語るための手段として活用する」と強調した。

これまでにも、NetflixはすでにAIを制作現場で実践的に活用している。アルゼンチンのSFドラマThe Eternautでは、ビル崩壊のシーンを生成AIで映像化し、従来のVFX制作に比べて約10倍の効率を実現したという。『Happy Gilmore 2』では登場人物の若返り表現、『Billionaires’ Bunker』では衣装やセットデザインのプリプロダクションにAIを導入。こうした例はいずれも、AIが人間の創造性を置き換えるのではなく、拡張する方向で使われていることを示している。

制作の裏側だけでなく、Netflixは視聴者の利用にもAIを融合させている。ベータテスト中の「対話型サーチ」は、ユーザーがリモコンに向かって「母の誕生日に一緒に見たい映画を探して」と話しかけるだけで最適な作品候補を提示するというものだ。これは、記事で初めて知ったので、これまでに利用したことはない。日本では使えないのだろうか。

またプロモーション画像や予告編のAIによる多言語自動生成により、地域や文化を超えたローカライズを実現しつつある。これは、省力化ということだろうか。

さらに来期からは、AIによるパーソナライズド広告が導入される予定だという。広告の内容やタイミングを視聴文脈に合わせて最適化することで、番組と自然に溶け込む広告を生み出すという。これが、広告を自動生成するのであれば凄いことだ。

しかし、一方ではAI導入の波は賛否を呼んでいる。俳優組合SAG-AFTRAは2023年、AIによる俳優のデジタル複製を巡って長期ストライキを敢行した。AI生成モデルが人間の創作物を学習データに利用している点への懸念も根強い。Netflixもこうした懸念に対し、今年AI制作ガイドラインを公開し、利用の範囲を明確化している。だが、これは、垣根はどんどん取り払われるだろう。

NetflixがAIを活用してきた歴史は長い。レコメンドエンジンや予測分析は2000年代からの競争優位の源泉だった。いまやそのAI活用は、制作からプロモーション、広告収益に至る全バリューチェーンに拡大している。データ駆動型プラットフォームとしてのNetflixは、AIによって「作品発掘 → 制作 → 配信 →マネタイズ」という循環モデルを完成させつつある。

Netflixの戦略は、AIがクリエイティビティを脅かす存在ではなく、創造の新たな基盤となることを意味する。映像制作の過程がアルゴリズムによって部分的に自動化されることで、クリエイターは構想や物語開発など人間の発想・アイディアにより多くの時間を割くことができる。

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