OpenAIが、Microsoftとの契約条項の変更を検討していることが明らかになった。 Financial Timesの報道によると、OpenAIは、人工汎用知能(AGI)が開発された際にMicrosoftがOpenAIの最先端モデルへのアクセスを制限する条項の削除を検討しているそうだ。
この動きは、OpenAIがAGI開発に近づいているという認識と、更なる資金調達と営利化に向けた戦略転換を示唆するものだ。
AGIとは、人間と同等以上の知能を持つAIを指す。OpenAIは、そのウエブの記述によれば、AGIを「経済的に価値のある大半の業務において人間の能力を上回る高度に自律的なシステム」と定義しており、その開発を主要な目標として掲げてきた。
現在、OpenAIとMicrosoftの間には、AGIが開発された場合にMicrosoftのAGI関連技術へのアクセスを無効にする条項が含まれているそうだ。この条項は、AGIの商業利用を制限し、OpenAIの非営利理事会の監督下に置くことで、AGIの倫理的な利用を確保することを目的としていた。
OpenAIは現在、この条項の削除を検討しているようだ。Financial Timesによると、OpenAIは、将来的な投資を確保するために、Microsoftとの連携を強化し、AGI開発後もMicrosoftがOpenAIの技術にアクセスできるようにすることを目指しているとのことだ。Microsoftは、OpenAIに130億ドル以上を投資しているから、そのような制限は望ましくないと当然考えているのだろう。
OpenAIは、当初は非営利団体として設立された。だが、2020年に営利企業へと移行している。この移行は、高度なAIシステムの開発に必要な資金を確保するために行われたが、OpenAIの共同創設者であるイーロン・マスクを含む一部から批判の声が上がっている。イーロン・マスクは、OpenAIの営利化は、公共の利益を優先するという当初の理念に反すると主張し、OpenAIの再編を阻止するための訴訟を起こしている。
OpenAIは、AGIの開発と化に向けて、Microsoftとの連携を強化し、更なる資金調達を目指していると考えられる。何せ年間に50億ドルも開発にかかっているそうだ。しかし、一方ではAGIの倫理的な利用を確保するという課題も残されている。OpenAIは、AGI開発の進展に伴い、AIの安全性という観点から、その戦略を調整していく必要がある。
OpenAIとMicrosoftの契約変更に関する議論はまだ進行中と報道されただけで、最終的な決定は下されていないようだ。しかし、この動きは、OpenAIがAGI開発と営利化に向けて踏み出そうとしていることを示唆している。