Perplexityは、AIを活用した検索エンジンとして重宝している。他の生成AIと違って出典が表記されるので、ハルシネーションかどうか確認できるからだ。
そのPerplexityは広告事業への参入を発表している。この動きは、収益源を多様化し、成長を目指す重要な戦略の一環として位置付けられる。
Perplexityの広告モデルは、Googleなどの検索エンジンとは異なるアプローチを採用しているそうだ。広告は「スポンサー付き質問(Sponsored Related Questions)」と検索結果に表示される広告して表示される。
質問形式の「スポンサー付き質問」とは、、ユーザーが検索した内容に関連する追加質問として提供される。たとえば、求人関連の検索をした場合、人材企業のIndeedがスポンサーとなった関連質問が表示される仕組みだ。
これは、Perplexityの特徴の一つである、質問に対する回答の下に表示される関連質問にスポンサーがつくということのようだ。つまり、ユーザーにとって自然で有益な情報を提供しつつ、広告主にとっても広告表示のチャンスになる。
Perplexityの広告モデルは、Googleなどの検索連動型広告に加えて、関連質問にスポンサーをつける。従来のクリック誘導型の検索広告とは異なり、Perplexityの広告はユーザーに対する価値提供と信頼性を重視しているのだそうだ。そのため、広告主はAIが生成した質問の内容を制御することができず、広告文はプラットフォーム側で作成されるという。これは、広告内容をコントロールできないということで、これが「広告」の定義に含まれるのだろうか疑問だ。広告とは、表示形式・内容を広告主がコントロールできることが定義に含まれている。
それから、Perplexityの広告の問題は、リーチが限られることだ。2024年時点での月間利用者数は約1500万人であり、Perplexityと同様に広告事業の開始を発表しているChatGPTでも億人単位であり、Googleとなれば数十億人単位のユーザーがいる。
このような制約にもかかわらず、早期参入の広告主もいるようだ。しかし、Perplexityが採用するインプレッション単価(CPM)は1000回表示あたり50ドル以上と高額であり、この価格設定が広告主にとって、今度どれだけ受け入れられるかが鍵となるだろう。一般的にはクリック課金が主流になっている現状を考えると、インプレッション課金は、広告主にとっては受け入れ難いだろう。
ただし、メリットもある。Perplexityのユーザーは高学歴かつ高所得者層が多く、特に技術や医療、金融分野が主なターゲットとなっている。これが広告主にとって価値あるターゲット層となる可能性もある。
さらに、Perplexityは、ディスプレイ広告やショッピング機能など、新たな広告フォーマットの導入を計画している。ショッピング機能は、Perplexity Proユーザー向けに提供されており、Shopifyとの連携を通じてプラットフォーム内で商品を購入できる。これが、販売を考える広告主にとって魅力的かもしれない。
Perplexityの広告事業は、AI検索エンジンにおける新たな広告モデルの先駆けとなる可能性を秘めている。今後の成長には、ユーザー数の増加、広告フォーマットの多様化、費用対効果の向上が鍵となるだろう。
Perplexityの広告事業は。UM(Universal McCann)がパートナーとして営業活動をしているようだ。UMは、IPG Mediabrandsの主要なエージェンシーの1つだ。IPG Mediabrandsは、先日、Omnicomによる買収が発表されたInterpublic Group (IPG) の傘下の会社だ。UMは、データとテクノロジーを活用したマーケティング会社だから、AI広告の開発を手伝っているのだろう。
Perplexityの広告は、AI検索時代における新しい試みだ。その成功は、広告主がどれだけこの新しい形式を理解し、適応できるかにかかっているだろう。つまり、先物買いができる広告主が十分な数いるかどうかだ。コストにシビアなデジタル広告において、そのような会社少ないと考えるのが合理的だから、当面は難しい営業が続くと予想できる。