インターネットにつながっている家庭のテレビを、コネクテッドTV (CTV)と呼ぶ。つながっている割合は2020年5月に発表された、総務省の情報通信白書によれば、63.4%だ。3軒に2軒の世帯がテレビを使って、インターネットに接続していると言うことだ。調査から、少し時間が経ったことを考えると、今はこの割合はもっと増えていると考えられる。
インターネットにつながったテレビを持つ家庭では、子供がYouTubeばかり見るとよく聞く。私も個人的にテレビを利用するときは、Netflix、Amazon Prime Video、 YouTubeを見る時で、テレビ放送を見る事は、ニュースなどの例を除いてあまりない。
このCTVの利用状況についての調査はあまり日本ではないが、アメリカでニールセンが調査を行った。
対象になったのは、「コブラ会」という作品の視聴者。「コブラ会」は、あの懐かしい「カラテ・キッド」の正式な続編だ。2018年から20話が配信されている。YouTube Premiumで配信され、2020年からはNetflixでも配信された。そして、シーズン3からはNetflixの独占になる。
「カラテ・キッド」の話の34年後、登場人物が歳をとってからの話だ。宮城を演じたパット・モリタは亡くなっているので、回想として古い映像が使われるそうだ。
この「コブラ会」を見ている人を対象にした、ニールセンの調査で、ある1週間の間に放送のテレビを見なかった人は10.4%、ほとんど見なかった人は35.5%。つまり半分近くが、ほとんど通常のテレビを見ない。
広告メディアの観点から考えたときに、このテレビを見ない人にリーチするためには、通常のテレビ放送の広告は意味がない。だが、有料配信の映像には広告が入らないために、プロダクトプレイスメントを考えることになる。実際、この「コブラ会」はプロダクトプレイスメントを行っている。商品は、Enterprise Rent-A-Car、 Coors Banquet beer、Dell computers、 Mercedes-Benz。
主役の好みのビールとして登場するCoorsは、最初の1ヵ月間で1億7000万回のインプレッションを得たと言う。
まさに、時代は、一般にSVODと呼ばれる、ストリーミング映像配信の時代になった。SVODとは、Subscription Video on Demand(サブスクリプション・ビデオ・オン・デマンド)を略したもので、Netflixなどの定額制動画配信のことだ。
20世紀の最大の広告メディアのテレビ放送は、今後もなくなることはないが、かつてのようなリーチや視聴時間は望めず、マーケターはSVODでのプロダクトプレイスメントや他の方法を使って広告活動を行うしかない。