100周年を祝っているライカは、2025年8月に自社名を冠した初の35mmフィルム「Monopan 50」を発売すると発表した。35mmフィルムは、ライカ判とも呼ばれる。これは、ライツ社のオスカー・バルナックが、1914年に映画用の35mmフィルムを転用して、カメラを開発したことから、そう呼ばれる。しかし、カメラメーカーのライカは、自社ブランドのフィルムを販売したことはなかった。
Monopan 50は、ISO感度50の超微粒子白黒フィルムであり、広口径レンズでの撮影に特化している。1925年のライカI登場時の低感度フィルムへのオマージュとされる。たしかにISO30のフィルムは、ノクチルックスやズミルックスの大口径レンズを使うには便利そうだ。昼間に撮影する時は、いつもNDフィルターを使っている。
技術的には、1ミリメートルあたり280ラインペアという驚異的な高解像度を誇り、パンクロマティック感度は780nmまで対応するそうだ。ドイツ製と発表されているが、製造元の詳細は非公開だ。だが、そのスペックがドイツ製のAdox HR-50と完全に一致することから、AdoxのOEMのようだ。
Monopan 50は36枚撮り1ロールあたり10ドルと報道されている。これは、いつも使っているKodak T-Max36枚が、今や3,000円程度することを考えると圧倒的に安い。調べてみると、Adox HR-50が日本で1,360円で売られているのを見つけた。だから、相場より高いということではない。
発表では、Monopan 50は、ライカが創立100周年を記念して開発した超微粒子白黒フィルムということになっている。今やフィルムカメラの製造はライカも含めて、ほぼ終了しようとしていることに時期に、フィルムを販売する意味はなんだろうか。
一部ではデジタルでは得られない独特の質感や表現力を求めて、フィルム回帰の動きがあるとは言え、市場としては小さい。だから、ライカが収益の多様化のためにフィルムに参入するとは思えない。100周年ということはあるのだろうが、これまで販売した多数のフィルムカメラへのフィルム供給ということを考えているのであれば嬉しい。フィルムがなければ、手持ちのフィルムカメラが文鎮になってしまう。とりあえず、今回知ったAdox HR-50を注文しようかと考えている。