毎日暑くてエアコンがない暮らしは考えられない。昼も夜もエアコンが必要だが、これは快適さだけでなく、人々の健康と命を守る上で不可欠な存在だ。しかし、今朝読んだ記事によると、その普及状況は国によって大きく違うようだ。
Statista Consumer Insightsの調査データは、家庭用エアコン所有率における顕著な差異を浮き彫りにしている。国別の家庭用エアコンの普及率は以下のとおり。
- 日本: 84%
- 中国: 73%
- オーストラリア: 69%
- アメリカ: 64%
- イタリア: 61%
- ブラジル: 50%
- スペイン: 48%
- メキシコ: 33%
- フランス: 23%
- イギリス: 18%
国際エネルギー機関(IEA)の最新予測によれば、2030年までに高温気候に住む約24億人が冷却システムを利用できないままであるということだから、生命の危険な状態が続くことになる。
データを見ると、日本やアメリカ、中国といった国々では、すでに多くの家庭でエアコンが普及している。一方で、比較的所得水準の高いイギリスでさえ普及率が18%と低いのは、歴史的に温暖な気候であったことが影響しているのだろう。かつての北海道のエアコンの普及率と同じことだ。
また、別の、大宮不動産の調査によると、アメリカや日本は90%以上の普及率、韓国や台湾、シンガポールなどの都市部も80〜90%以上と高い水準だ。中国は全国平均で60%前後だが、都市部ではさらに高い普及率だという。これに対し、ヨーロッパ(特に北・西ヨーロッパ)は10〜30%程度、インドは10%未満、多くのアフリカ諸国では5%未満と、普及率に大きな開きがある。
このような国別のデータは、気候条件、経済状況、文化的な背景など、様々な要因が複合的に絡み合っていると思われる。
IEAのレポート
IEAは「すべての人に冷却を(Cooling for All)シナリオ」を掲げ、2100年までに高温気候に住む人々の90%以上が冷却システムにアクセスできることを目指している。しかし、これを実現するためには、途上国における安定した電力供給の確保といった大きな課題をクリアする必要がある。これは、温暖化ガスの問題もあり両立をどうするかという難問だろう。
IEAの分析によると、今後30年間でエアコンの利用は世界的な電力需要の主要な要因となる見込みだ。適切な対策を講じなければ、エアコンによるエネルギー需要は2050年までに現在の3倍に増加し、現在の米国、EU、日本の合計電力容量に匹敵する新たな発電能力が必要になると予測されている。
温暖化ガスの問題もあるが、高温化の環境は生命の危機の問題であるから、IEAだけではなく世界的な対策が必要だ。それは、他の温暖化ガスの排出量を減らして、冷却のための電力をどう確保するかということだ。これは、今の国際社会の協力の意識を考えると、達成可能なのだろうか