先日アメリカ人の友人と一緒に旅行した際に、待ち合わせ場所をGoogle Mapsのリンクで連絡をしたらGoogle Mapsを使わないと文句言われた。彼はAppleファンで、かなりの初期にAppleに投資をして資産を作ったようなのでGoogleが嫌いな様子だった。
それは単純にGoogleが嫌いと言うよりもプライバシーの問題だそうだ。Googleがあらゆる方法で、個人情報を集めるのは許せないと言う事だった。
とは言うものの、当初のAppleMapsがあまりにもひどくて、それ以来Google Mapsを使っている私などは地図のデファクトはGoogle Mapsと思っている。海外も含めて新しい場所に行くときにはGoogle Mapsは欠かせない。またStreet Mapsなどを使って事前に環境を確認しておくことも海外旅行などの際には必要だと思っている。
しながら私の友人のようにプライバシーの懸念からGoogle Mapsを使いたくないと言う人は多い。それで注目を集めているのはCoMapsのようだ
CoMapsは、コミュニティ主導の無料オープンソース地図アプリケーションで、OpenStreetMapデータを基盤としている。2025年6月1日にCodebergで最初の公開リリースが開始され、同年7月3日にはGoogle Play StoreとApple App Storeで正式にリリースされた。
OpenStreetMapデータとは、世界中の有志によって作成・維持されている自由でオープンな地理情報データベースだ。地図のWikipediaと言っていいだろう。2004年に開始されたこのプロジェクトは、誰でも参加でき、誰でも利用できる地図データの作成を目指している。日本では1日約120人の規模で編集が続けられており、月間100以上の新規アカウントが登録されているそうだ。
CoMapsの技術的特徴
CoMapsの最大の特徴の一つは、完全なオフライン機能だ。事前に地図をダウンロードすることで、インターネット接続なしでナビゲーション、検索、ルート計画が可能になる。これは、山間部や海外旅行など、インターネット接続が不安定な場所での使用において特に有用だろう。
さらに、CoMapsはGoogle Mapsと比較してバッテリー消費が大幅に少ないことが特徴だという。これは、オフライン機能とエネルギー効率的なデザインによる実現されている。
プライバシー保護
CoMapsは、プライバシー保護を重視した設計になっています。個人データの収集やユーザーの位置情報追跡を行わず、広告も一切表示しない。これは、従来の地図アプリケーションとは大きく異なる特徴だ。
CoMapsの特徴的な側面の一つは、コミュニティ主導の開発モデルだ。プロジェクトは7つの基本原則を掲げている。
- 透明性
- コミュニティによる意思決定
- 非営利
- オープンソース
- プライバシー重視
- 集合的な資金提供
- 公益のための資産
Google Mapsの圧倒的な市場支配
現在の地図アプリケーション市場では、Google Mapsが圧倒的なシェアを占めている。Google Mapsの日本での利用者数は4,700万人で、これは日本のスマートフォン保有者の半数以上に相当する。利用率は99.4%で、ほぼ全員がGoogle Mapsを使用したことがあると回答している。
2022年の調査では、Google Mapsアプリの全世界ダウンロード数が10億件を突破し、ナビゲーションアプリカテゴリで10億ダウンロードを達成した唯一のアプリとなっている。
このGoogle Mapsに対抗して、CoMapsは、地図アプリケーション市場に新しい選択肢になれるか。プライバシー保護、コミュニティ主導の開発、透明性、非営利運営などの原則により、従来の企業主導の地図アプリケーションとは根本的に異なるアプローチを取っていることが、どこまで評価されるのか。ネットの世界では強いものがますます強くなる。CoMapsは、Google Mapsの覇権を崩せるだろうか。