北極海の大西洋化

by Shogo

北極海は、アメリカ、ロシア、カナダ、デンマーク、ノルウェーの5カ国に囲まれた海で、北極点周辺は1年中、それ以外の海も冬には氷に覆われる。大西洋とはノルウェー沖で広い面でつながっている。しかし、この2つの大洋は、塩分濃度や温度差で区別があって、環境が決定的に違っている。

しかし、全体では、まるで違う性質の2つの大洋は、繋がっているために接点では混じり合っている。それは、大西洋から、暖かい海水が北極海に流れ込んでいることだ。北極海は、この大西洋の暖かい海水を海の下に収容している。その暖かい海水の上に冷たい真水があり、さらにその上に氷がある。このような3層構造が北極海の姿だ。

しかし、北極の氷が溶けて、大量の氷が大西洋に流れ出ることにより、今までの太平洋と北極海の共存関係も北極海の三層構造も崩れつつあると言うことだ。

この過程は、北極海の大西洋化だ。これは、北極海が他の海に比べて温暖化が早いことが原因になっている。

衛星写真により、この変化の過程は北極海とその氷の姿により追跡できる。しかし衛星写真は過去40年までしかさかのぼれない。この大西洋化はいつから始まったのか。そこで、イタリアの学者が取り組んだのは、海底の堆積物をドリルで掘って、調べることだった。

この方法で、堆積物の層を調べることで過去 800年までの北極海の変化が分かった。

この調査の結果、温暖化による北極海の大西洋化は、1900年頃から始まっていると言う。具体的には有孔虫と言う1ミリ程度のアメーバ様原生植物の堆積がどのように進んでいくかを調べた結果だ。この有孔虫が生息していると言う事は温暖化が進み、太平洋から北極海まで有孔虫の生息区域が広がっていたことを示す。つまり温暖化が進んでいると推定される

1900年頃という、産業革命と同時に、北極海の温暖化が始まったと言うことが証明できたことになる。地球の46億年の歴史の中で、この200年ほどで、大きく環境が変化が生じたことが、ここからわかる。

変化したと言うよりも、人類の化石燃料の大規模の消費とともに、46億年続いている地球の均衡を破壊しているのだ。

COP 26でも石炭の使用中止を始め、温暖化のための決定的な対策は合意に至っていない。今のまま、骨折にバンドエイドを貼るような対策を続けていると、近い将来、決定的な結末を迎えそうで怖い。

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