12月に入って、様々なランキングが発表されている。考えてみれば、今年ももう2週間ほどになっている。私の人生の中でも、きっと多くの人の中でも、不思議な2年間が終わろうとしている。だが年が明けてもまだ状況が変わる事は無いようだ。
2021年は、パンデミックの年でもあり、またダイバーシティーの年でもあった。アメリカではジョージ・フロイドの殺害からBlack Lives Matterの運動が広がり、日本でもダイバーシティーについては、大きなうねりとなった。もはや様々な差別やハラスメントは許されない。その年にパラリンピックが開かれたのも象徴的だ。ダイバーシティーはすでに、社会に定着したもので、来年以降も変わる事はないと思われる。
また2021年は、パンデミックによりオンラインショッピングが急速に普及した年でもある。新しいことは、始めるまでが大変だが、一旦慣れてしまうと、それが日常になって続いていく。同じように、オンラインショッピングをコロナ禍で経験した人は、今後もオンラインショッピングを続けていくと思われる。数年先の未来が、コロナウイルスのせいで早くやって来たと言えるだろう。
オンラインショッピングと同じように、パンデミックにより経験したものはリモートワークだ。通勤がなくなると言うのは、考えただけでも素晴らしいことで、多くの人が時間を有効に使えるようになった。なんので、パンデミックが収まったときに、これがどうなるのか注目だ。多くの人は出勤する回数が増えても、リモートワークでできる事はリモートワークでしたいと考えるようになっている。その時の企業の対応が注目される。これの対応次第で、企業の採用に影響が出るだろう。
出張も同様だ。わざわざ列車、飛行機を使って移動しなくても、オンライン会議で済ますことができれば効率的だし、費用も少なくて済む。このリモートワークとオンライン会議で影響受けているのは移動と宿泊に関わる産業だ。これらの企業は今後、コロナ以前の水準に復活することがないと言う前提で経営を進めなければいけないだろう。そのためには、個人の需要をどうやって取り込むかが焦点になるだろう。
2021年は、広告業界においては、Appleがプライバシーポリシーを強化したことにより、ユーザのトラッキングが難しくなり、広告の効率が落ちていることが問題になった。この傾向は今後も続き、2023年に予定されているGoogle Chromeのサードパーティー・クッキーのサポート停止によりピークに達すると思われる。日本においても2022年4月からは改正個人情報保護法が施行されるため、クッキーを含めた個人情報の取り扱いには今まで以上の注意が必要となる。急速な成長を遂げて来たインターネット広告の節目になる年となった。
メディアでは2021年の話題の中心は、FacebookとTikTokだった。良い意味で話題になったTikTokは2020年のトランプ政権からの攻撃から逃げ切り、2021年にはまた大きく成長することができた。もはや若者にとっての主要なメディアなったと考えられる。日経トレンディも「TikTok売れ」を2021年の言葉として選んでいる。それほどたくさん、TikTokで火がついて売れ始めたものがたくさんある。
一方、悪い意味で話題になったFacebookは、内部告発者により、公共の利益を犠牲にして企業としての利益を追求する姿勢を非難されたことを始め、各方面から集中放火浴びた。その結果として、Facebookは、社名をMetaに改め、メタバースの確立と言う新たなインターネットのインターフェイスを目指すことを宣言した。これについては、苦しまぐれで、目先を変えただけという批判もある。メタバースはいつ実現するのかまだよくわかっていない。少し考えてみれば、「あつまれ動物の森」や「Fortnite」で既に実現していると言う考え方もある。このメタバースの追求も2022年以降も続くことになる。
2021年は、経済の大混乱なのか、この混乱が通常の状況なのかよくわからない。アメリカやヨーロッパではインフレの可能性が叫ばれている。日本ではその気配もあまり感じられない。むしろデフレと不景気が続きそうだ。これでインフレがやってくればスタグフレーションになり、庶民の生活は大きな影響受ける。それだけでも避けたいものだ。こんな状況で、株価が上昇しているのは、経済の素人にはよく理解できない。金余りで、企業や一部の金持ちの資金が、株やビットコインに向かっているという解釈もあるようだ。
年末になって、今年のことを思い返そうとしても、あまり思い出すこともない。パンデミックの自粛生活が続いていて、友人と会ったり、旅行に出かけたりがないからだ。しかしこの生活は、今の状況考えると少なくとも2022年いっぱいは続くのではないかと思われる。もう少しの辛抱と思うのか、これが通常の状態だと思って生きていくのか。これからも常に変異種はどこかで発生して感染が広まる事は予想されるので、ワクチンの接種と治療薬が整った段階である程度日常に戻さないと、経済も個人も壊れてしまいそうだ。