Amazonの第1四半期は7%の成長と言う結果に終わっている。それでも1,164億ドルの収益だ。決して悪い数字ではない。単にパンデミックの異常なオンラインショッピングの増加が一段落したに過ぎない。それでも期待が大きいので株価は10%も下落した。
Amazonはこの成長率鈍化の原因を、サプライチェーンの問題とインフレによるものとしている。しかし一方で、大きなコンテンツ投資がよる費用が業績に影響を与えたようだ。
それは、コンテンツとゲーム・サービスの分野だ。その費用が、第1四半期の数字にどの程度反映されているかは分からないが、一部は第1四半期の費用となっているはずだ。
まず、クラウドのゲームサービスのLuna cloud game service、さらにMGMの買収、それからスポーツ・コンテンツ分野への投資だ。どれも、物販の枠を超えて成長しようとしているAmazonの重要な戦略的な投資だ。
Luna cloud game serviceは、すでにアメリカではサービスが開始されている。契約者はPC、 iPhone、Fire TVなどの端末を使って100のゲームのタイトルにアクセスできる。このタイトルには日本のCapcomのゲームも含まれている。Twichを始め、Amazonはゲームの分野は重要と考えているようだ。今度、主流となると思われるクラウド型のゲームで主導権を握ろうとしているようだ。
そしてMGM。これは説明は不要であろう。MGMの85億ドルの買収は昨年の3月に既に完了しており、Amazonはすでに映画やテレビ番組を制作する会社である。さらにMGMのライブラリに含まれる4000の映画作品や17,000のテレビ番組のエピソードが、今後Prime Videoも含めて自由に使える。これは、今後のPrime Videoのコンテンツの充実に大きな働きをする。
このようにコンテンツの充実を図っているAmazonだが、スポーツの分野でも存在感を持ちつつある。昨年フランスのサッカープロリーグのリーグ・アンとリーグ・ドゥの放送権を10億ドルで契約済みである。さらにアメリカンフットボールNFLのThursday Night Footballを年間10億ドルで11年契約をした。今年に入ってからは、上記に比べれば小粒ではあるが、シンガポール拠点の総合格闘技one championshipの放送権も契約を行っている。
それに加えて、面白いのは、テニスプレイヤーの評価制度を導入しているUniversal Tennisに資本参加した。これによりプロのレベルからアマのレベルまでのテニスの評価システムを含め、テニスのあり方を今後Amazonが株主として関与していくことになるようだ。これにはUniversal Tennisが主催するプロとアマの試合の放送権も含まれている。
多少成長率が落ちたと騒がれるAmazonだがこれは、市場の期待が大きいためであり、Amazonそのものは成長続けているので何の問題もない。携帯電話など、過去に失敗したビジネスもたくさんあるが。Prime Videoを使ったコンテンツビジネスとゲームサービスについては今後も投資を続けるものと思われる。