MetaがWhatsAppアプリの収益化を行うようだ。企業向けの有料サービスにより、収益を生んでこなかったWhatsAppをビジネス化する。
Metaにとっては、FacebookとInstagramが収益の柱であった。WhatsAppは、2014年に220億ドルで買収したものの、単にコストセンターであった。詳細は不明であるが、広告も入らず、ユーザもフリーで使えるので、Metaにとっては維持・運営するのに数百円の億円のドルの費用がかかっていたと思われる。
全世界で10億人を超えるのユーザを持つWhatsAppの維持費用はかなりのものである事は想像できる。太っ腹である。その理由は、MetaにとってはWhatsAppがFacebookのメッセージ・サービスの競合になることの恐れての防衛的な買収だったためだ。このために利益を出さなくても良いと言う判断をしていたものと思われる。
しかし、これが変わったのは、昨年のiPhoneのプライバシーポリシーの変更だ。これにより、メタの広告ビジネスは大きな影響を受けた。さらに追い打ちをかけたのはロシアのウクライナ侵略だ。ロシアではFacebookやInstagramが禁止されて、数千万単位のユーザーを失っている。
2月に発表された2021年の第4四半期の財務報告で収益が8%減少してたことを受け、株価が急落した。時価総額の約4分の1、2300億ドルもの時価総額が一瞬で消えた。この収益の悪化はiPhoneのプライバシーポリシー変更だけではなく、Metaが社名を変更して取り組んでいるメタバースへの投資が巨額で、費用がかさんでいることも理由となっている。
このような状況を受けて、WhatsAppの収益化を検討することになったのであろう。もともとのWhatsAppの創業者は広告を入れることを拒否していたとされる。その創業者もすでにMetaを去っている。
検討されている収益化は広告モデルではない。ビジネスユースへの課金である。報道されている計画によれば、企業ユーザは、WhatsAppの中に企業専用のダッシュボードを持ち、その企業の顧客とコミュニケーションできるようになる。課金は1日あたりの顧客とのメッセージ数に応じて、数セントから10セント以上までと報道されている。また小規模企業向けには限定したサービスの無料版も用意すると言う。これは日本のLINEのメッセージ数によっては無料にするになっていると同じ考え方だ
Metaの既存ビジネスであるFacebookとInstagramは、大きな転機を迎えている。1つはFacebookのユーザの高年齢化である。またもう一つのInstagramは、TikTokよSnapchatなど動画系アプリにユーザを奪われ始めている。基幹事業の成長が頭打ちになっていることに加えて、メタバース実現のための費用が今後かさむために、WhatsAppの収益化はMetaにとっての重要な課題となっているであろう。
日本のLINEも、広告事業や企業向けサービスにより収益化できていることを考えても、WhatsAppの企業向けサービスがある程度の利益を事は間違いないであろう。ただしその額は巨大企業のMetaを支えるほどのものかどうかは現時点ではわからない。