プロダクトプレイスメントとStranger Things

by Shogo

メディア接触は大きく変わっている。博報堂が行っている定点調査でも2年前から、デジタルメディアの視聴時間が、マスメディア全体の時間を抜いて、過半数以上となっている。テレビの視聴時間は年齢が上がるほど影響が少ないが、若年層では、テレビ以外の時間が増えると言う傾向にある。

このメディア接触の傾向から、広告メッセージを伝わらない状況を考慮してプロダクトプレイスメントが注目を集めている。このプロダクトプレイスメントについて、視聴者がどう感じているのか調査会社のガイアが調査結果を発表した。この調査によれば、プロダクトプレイスメントについて、視聴者の5割は不快に感じないと言うことだ。

この調査では、「テレビCM」「Web・インターネット広告(動画以外)」「動画広告(YouTube、TikTokなど)」「プロダクトプレイスメント」「映画館などで本編前などに上映される広告」の5つの広告に対する視聴者の印象を調べている。

この調査の中で「Web・インターネット広告(動画以外)」「動画広告(YouTube、TikTokなど)」では「広告が不快である」が最多になっている。それは当然の結果だと思う。広告に邪魔されていると感じるだろう。

だがプロダクトプレイスメントに関しては、「商品または企業の認知度が向上する」がトップで「情報が新鮮である」が次点だった。これも、視聴者の見ているコンテンツの流れを中断しないので当然だろう。プロダクトプレイスメントは、自然に商品を目に入れると言う意味で有効の手法だということがよくわかる。ただしプロダクトプレイスメントは広告メッセージではないので、その有効性にも疑問がある。商品を見せたり、思い入れのあるコンテンツの中で登場人物が使用することで、そのイメージが写し取られると言う程度の効果しかない。

このところ、プロダクトプレイスメントと言えば、NetflixのStranger Thingsが話題になる。ドラマの中で効果的に使われるケロッグの冷凍ワッフルは人気になり、ケロッグはStranger Thingsとタイアップしたキャンペンを始めた。

Stranger Thingsはシーズン3まで公開された後、パンデミックのために制作が休止していた。そしてシーズン4が6月から公開されている。シーズン4の第一話はNetflix史上で最も試聴された英語版テレビシリーズとなったそうだ。大きな話題になっていたので、シーズン4開始後に見始めた。1980年代に設定されたホラーと言うことで、80年代の音楽をかけるのが楽しいのだが、内容にちょっとついていけなくて、結局一部しか見ていない。

このドラマの中には、たくさんの商品が出てきてくる。特に印象に残るのが主人公の超能力を持つ少女が、コカコーラの缶を念力で潰そうとするシーンだ。この商品の印象は圧倒的なものがある。このコカコーラ以外にもたくさんの商品が登場してプロダクトプレイスメントの洪水のようだ。

いくつかの調査会社によれば、Netflixのこのプロダクトプレイスメントの広告効果は数十億ドルにも上ると推定されている。

日本のテレビ番組の場合には、広告スポンサーの関係で、むしろ特定の商品を登場させない。今後は配信が増えることを想定すると、制作資金調達のためにプロダクトプレイスメントも有効な手法として注目されるかもしれない。アメリカには何十年も前から映画も含めてプロダクトプレイスメントを行う専門会社があったが、日本では、まだそのような会社はない。これも今後登場するビジネスか、あるいは従来の広告代理店の機能になるのかもしれない。

いずれにしてもメディア接触が変わる中で、広告の形は変わらざるを得ない。TikTokやInstagramの中に割り込む広告は嫌われているようなので、むしろ反感を買うくらいなら広告をしないほうがいいと言うことになる。その解決の一つがプロダクトプレイスメントということなのだろうか。

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